予想より評価できる
★★★☆☆
本書は、分裂病やうつ病と比べると認知度が低いボーダーライン(境界パーソナリティ障害、BPD)に関する本である。自殺率が極めて高いと聞いて関心を持ったが、著者によれば受診者の8割が自殺未遂経験者とのことである。序章では、情報化社会や現在の青少年の置かれた環境について持論を展開されるが、一般人と変わらない社会の見方に正直がっかりした。ところが、1章からはBPDの具体的内容を的確にしかも予断や願望を排除して述べられていたので、ほっとした。初学者には分かりずらい専門用語を唐突に使っているという難はあるものの、BPDかどうかを調査するテストや、このテスト結果を集計して分裂病やうつ病と比較した図表などが掲載されていて分かりやすかった。米国精神医学の診断基準であるDSM-Ⅳに基づいた本書から、BPDの大まかな理解を得ることが出来たと思う。