的確な説明、読みやすい翻訳、持ち歩きやすいサイズ
★★★★★
ライプニッツのモナドロジーはずっと読みたかったのですが、手頃な本が見つかりませんでした。中公クラシックス版はまず字が読みやすく、持ち歩きも便利です。注釈もそんなに長くなく的確で、とにかく難しいテキストをアプローチしやすくしてくれていて、内容に集中することが出来ました。巻頭のにはライプニッツの人生や哲学について簡潔に解説されているのですが、私は個人的にとても効果的であると感じました。特に私はライプニッツについてあまりよく知らなかったので、哲学者の背景を知ることは、本題を読む上で役に立ちました。
同シリーズから出ているスピノザの『エチカ』を読んでいますが、こちらも字の大きさや、注釈が適切です。是非、このシリーズを続け、もっと広げて欲しいと願います。
バロックの精華
★★★★☆
巻頭の下村寅太郎の卓抜な解説からライプニッツの世界が語れ、数篇の作品が収録されている。 全体を通して感じる明るく力強いオプティミズムは高山宏や松岡正剛らが評価するアナロジー思考、ライプニッツの万学連環思想を加速させる! ある種、フランクフルト学派の否同一性の哲学の対局に位置する訳だが、この混迷の時代、新しい見方を教えられた気がする! 難解だが、読んで楽しい哲学者である。但し、これら数篇だけをよんでも、物足りない感を凄まじく感じるので☆4つ。 ライプニッツ著作集が欲しなるね。 いつかライプニッツ全集が日本ででたら、そう思わせられる。 ライプニッツの如くなるべし!
良書。だが。
★★★★☆
翻訳はとても読みやすい。表題のモナドロジー、形而上学叙説のほか、短い小品集も収められており、ライプニッツに初めて触れる自分のような読者を遠ざける内容ではなく、よく出来た本だと思う。ただ、一つ問題なのが、巻頭に、日本人研究者の解説を載せてしまっていることだ。読者は、ライプニッツ自身の著作を読みたいために本書を購入したのであって、解説を読むために購入したのではない。ライプニッツ自身の論文の「前に」解説を載せるのは、ライプニッツに対して、そして、ライプニッツとの知的対話を通じて自分で考えようとしている日本の読者に対して、謙虚さを欠いているのではないだろうか。もし今後、改訂版を出すようなことがあれば、解説は最後にするか、あるいはなしにするよう、中公クラッシクス編集部に希望したい。
ライプニッツ哲学の入門書として
★★★★★
ライプニッツと言えば微積分法の発見を巡ってニュートンと激しい先取権争いをしたことで有名だ。その点があまりに有名なため、ライプニッツと言えば数学者というイメージを持っている方が多いと思う。しかし、彼は非常に多才な自然哲学者であり、思想面でもかなりの数の著作を残している(その多くは完結の形をとってはいないが)。
本書の題名にはモナドロジーと形而上学概説と書かれているが、他にも記号論理学の理念の萌芽ともいえる「対話」や学問をするとはどういうことかを考察した「学問的精神について」など、複数の小品集が収められており、これ一冊でかなりライプニッツ哲学の概観を掴むことができる。
物質などに備わっている形相などは、全て単一の根源に由来するものであり、それこそが神である、というのが全編を通してのライプニッツの考察の根幹にある。その思想の結集こそがモナドロジーなのであるが、本書を通読すると、ライプニッツの思想がどのように結晶化して行ったかがよくわかり面白い。特に、人間の精神がなぜ動物のものと異なり、神に近づくことができるのかを、神と物質との結びつきと魂の定義から述べたくだりは、キリスト教教義の色合いがかなり濃いとはいえ、思想的に理解しやすいものがある。
ライプニッツ哲学の入門書として特に予備知識なく(ただし聖書を読んでいるとなお読みやすい)読破することが可能である。デカルトやスピノザといった哲人が存在した「天才の世紀」で活躍したライプニッツの考察をわかりやすく知ることが出来るお勧めの書。
ライプニッツ理解する為の本
★★★★★
モナロジーという文章を書き上げるまでのライプニッツの人生を簡略に書いた文章を頭に置き。形而上学叙説・小品集とともに理解を深める。
そこには天才で才能に恵まれたライプニッツがそれでも夢かなわなかった人生があった。