あの有名なイソップ話をもっと愛らしくほんわかと
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ひょんなことから町にでてしまった「いなかのねずみ」「チミー・ウィリー」は、「まちのねずみのジョニー」と知り合いになり、「みたことのないものばかり」のごちそうやねこにびくびくしてしばらく暮らしますが……。
あの有名なイソップの話のポター版。繊細な絵とお話で、もっと広がりが感じられます。なぜか「まちねずみのジョニー」がタイトルになっていますが、いなかのねずみ「チミー」が中心。チミーはりっぱな毛皮だけの裸で、「のうかのやさいばたけ」で、新鮮な食べ物を食べて、のんびり暮らしているので、ふくふく太っていて、とても愛らしい。反対に、ねこや人間から隠れて暮らしているジョニーは、りっぱな服を着て、パーティーまでして、都会的にスマート。
「しずかすぎると、ジョニーはいうのです!!」というオチが、ポターさんの考えをよく表していますが、チミーの暮らしは、コンピューターに支配されていなかった時代、ジョニーの都会は現代社会のようにも読めて、考えさせられます。
とはいえ、多くを求めないころころしたチミーがいとしい、心に残るお話です。