和哉にビックリ
★★★★★
長く続いてますが、登場人物が皆、魅力的なので人物や話をド忘れすることもないし飽きないです。
拷問の人も忘れてなかったし(笑)
今回、和哉の人格がちょっと恐いほど変わっててビックリしました。
海斗はどこにいってもモテモテですね。
海斗を自ら手放した時のビセンテにはガッツリ心を奪われましたが、前巻のジェフリーにも思い切り痺れました。
だから早く助かってほしい。がんばれ、ナイジェル!
このシリーズは絶対買いですよ!
★★★★★
航海物、タイムスリップ物、なんて、普段手に取らないジャンルですが、是非読んでない方は購入してください!!
今から読み始めるなんて、すっごいラッキーです!もう15巻まで出てるんですからね。
15巻まで一気に読んだら、16巻の発売を一緒に切望で待ちましょう!!
ちなみに、海斗はNEWSの手越祐也君がかぶります。。。
どうしてカイトは皆に愛されるのか?
★★★★★
私はこのシリーズが大好きだ。でも、最初からどうしてもカイトが愛される理由がわからない。揃いもそろっていい男たちが自分の命をかけてまで。野暮を承知で言うんだけれども、その他の設定が緻密に練られているだけに、台風の目というか、狂言回しというか、中心の存在の説得力のなさが少し気になる。スペイン編はわくわくしたが、それはカイトがイングランドへ帰るために自分で考え行動したからかもしれない。今度は現代からジェフリーの元に戻るためにカイトの奮闘が始まる。ジェフリーとカイトの愛が成就するとお話が動かなくなりそうな気がするので、しばらく二人にはがんばってもらわないといけないんだろうなあ。S&Aゴロンの「アンジェリク」や岡野玲子の「ディアーヌ・ド・ロゼの陰謀」や、山本鈴美香の「七つの黄金郷」や河惣益巳の「サラディナーサ」など、16〜17世紀を舞台にしたお話はいろいろあるが、F&Bは間違いなくそういうジャンルの代表作になるだろう。だからカイトが愛されるのが謎、なんてことはどうでもいいんだけれども。
立ち止まっていることは許されない
★★★★☆
結核を治し、ジェフリーと共に生きること。それのみの為に現代へ戻ったカイト。本来、自分が生きる世界・過ごしてきた時間は『現代』であるはずなのに、この違和感。
カイトも、読者である私自身も、愛すべきあの人たちがいる『16世紀のイングランド』がすでにホームグラウンドになってるんだよね。それを切々と感じた15巻でした。
カイトが戻ったこと以外、ストーリー的にあまり展開が無かったので☆1コ、マイナスにはしましたが、拷問を受けるジェフリーの独白や回想は痛々しくも胸がワクワクしました。そうだよ、アンタはそれでこそカイトの恋人であり、グローリア号の船長であり、ただのキザ男じゃない海の男なんだよ!
今は皆が辛いけど、立ち止まらず男を磨いてチョーダイ。来るべき再会の日の為に。最終目標である対スペイン決戦の日の為に。
カイトが16世紀に帰還する時、絶対ついてくるよね……和哉(笑)こんな濃いキャラになるとは予想外でした。
次回も期待!
ついに現代編始動!
★★★★★
16世紀と現代を繋ぐトンネルの法則を見つけ、結核の治療のため現代に戻った海斗。
今回は、時間と共に変化する、あるいはせざるを得ない「人間」というものの姿を描いた15巻でした。
少年は成長を、青年は変化をして、もう以前の自分には戻れません。
切ないことですが、それを繰り返して人は生きていきます。
海斗を迎えた和哉は、海斗不在の間に大きな変化を遂げていました。
それを象徴するのが、口絵の裏ページ。一瞬海斗かと思ったのは私だけではないと思いますが、あれは和哉です。
彼はバイク手に入れ、媚と嘘を覚え、ドラッグを売ることを覚え、タバコを覚えました。
一方、16世紀居残り組みも、変化を求められていました。
ジェフリーはレイヴン(←まさかの再登場!)の巧みな拷問にさらされ、読者である私たちが初めて目にする無力な姿で苦しみます。
ナイジェルは、これまでジェフリーが背負っていた責任をズシリと負わされ、更なる責任感と強さを求められる立場となります。
彼に料理人として仕えるジョーは、主人を救うため、初めて主人の意志を無視した行動をとります(怒られました)。
ビセンテはヨナ書を熱心に読むようになり、なんだか修行僧のよう。同時にこれまで誰よりも側に居てくれたレオの大切さと、その急激過ぎる成長に気づきます。
レオは海斗の事が(友達として)好きだったのでしょう。裏切られたと知って、無邪気さを失い、勇敢さが冷酷さに変化しつつあります。
それと、現代編において決して無視できないのが、海斗の母親、友恵です。
孤独な女性(あるいは妻・母親)が陥りやすい根深い問題が、友恵を通して鮮やかに描き出されています。
普通BLで、ここまでは書きません。でもそれをやってのけるのが松岡センセ。
友恵は夫が支社長であることで、夫人会において絶大な権力を得ています。
非常に利己的で我が強く、常に自分が中心でチヤホヤされていないと気がすまない、いわゆるヤな女として描かれています。
しかし、友恵は特別な人物ではありませんし、悪人でもありません。
誰の中にでもいる、わがままの虫の象徴であると私は考えます。
私は友恵を見て、こんなことを考えました。
例えば、ある女性が美しく装って、夕暮れの道を歩いているとします。
空は、見たことも無いほど美しいグラデーション。
そんな時、久しぶりに見る知り合いにばったり会いました。
「こんばんは、綺麗ですねぇ!」と、知り合いが微笑みます。
この言葉に、女性が返す言葉は2種類にわかれます。
「ええ、本当に」系と、「ありがとう」系です。
あなたはどちらですか。
どちらも間違いではありません。相手の言葉に主語がないのですから、解釈は自由です。
でもこんな時、「ええ、本当に」とにこやかに空を見上げられる謙虚さが、女性に限らず人間には必要なのではないでしょうか。
あるいは、例え「綺麗って私のこと?」と思っても、「綺麗な空ですね」と返すことができる会話力がある方が望ましいと思います。
本音と建前を、使い分けることは悪ではありません。
友に恵まれる、あるいは友に恵みを与えると書いて「友恵」。
その名の通りの人生を手に入れる日が来てほしいです。
ジェフリーの話になりますが、彼は常に海斗を思って拷問に臨みます。
そのため、水で窒息させられそうになった時、自分の苦しみではなく、海斗が耐えていた喀血による窒息の苦しみを思っていました。
「他人の痛みには鈍感で、自分の痛みには針に刺された程度のことでも大げさにする」とされている友恵とは、対照的な描写でした。
誰しも苦しんでいるときは、自分だけが被害者だと思いがちなものですが(もちろん私もそうです)、自分ではない誰かを心から思いやるとき、人はひとりではたどり着けない強さの境地までいけるのかもしれませんね。