研究者自身が何を明らかにしたいのかを自覚しないと,
方法論などを誤ってしまう。
一言でいえば,本書は,組織研究者へ上記のような警告をしている。
パラダイムフリーのリサーチを行なっても,
何が明白にできて,何が明白にできないかを確認できない。
本書は,
<機能主義と解釈主義それぞれ明白にできることが違う>という事実を
確認した上で研究者自身が明らかにしたいパラダイムに対して,
適切なメタファーを選択すべきだと論じている。
そういう意味で,
組織研究をこれから展開しようと考えている研究者には必読の書である。
坂下教授は,
日本の解釈主義的組織文化研究の少なさを確認した上で,
異文化理解の組織研究として重要な
解釈主義的組織文化研究を推し進めていくべきであると指摘している。