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南無阿弥陀仏―付・心偈 (岩波文庫)

価格: ¥903
カテゴリ: 文庫
ブランド: 岩波書店
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反復によって知る、命のつながり、我の消滅 ★★★★☆
現代の日本人の信仰回帰の流れは、神仏習合を軸とした自然崇拝を原点とした信仰と、所作がもたらす形式の清々しさに、心に潤いを与える故にもたらされるのであろう。
その中で、「南無阿弥陀仏」を唱える浄土系の思想は、現代にどんな力を持つのであろうか?
反復を尊重する日本ならではの文化と、ものづくりとの脈絡が、読み進めていくうちに鮮やかに浮かび上がる。
日本人的美意識も、精神構造も伏流となってしまった一遍上人にたどりつくことで筋道が見えてくる。
良書である。
民藝の父に学ぶ、日々の心偈(俳句より短い詩) ★★★★★
-之モ亦 之モ サンゲノ 仕事カナ-

本体の南無阿弥陀仏より、付属の心偈(こころうた)がより残る。「心偈」は短歌や俳句よりも短い詩のこと。引用は、69首のうち最後の句で「どんな仕事も懺悔(謙譲)の仕事と知るべし。常に懺悔の想いなくして幸せなし」というような意味。各句に深みと広がりがあり、思わずわが身の処し方を顧みてしまう。各句に棟方志功が版画をつけた作品があるので、そちらもおススメ。
心偈が身に付いたお婆ちゃんになりたい。
心偈の身に付いた経営者が増えると国民の幸福度があがりそう。ブータンみたいに。
一代の聖教皆尽きて、南無阿弥陀仏になりはてぬ(一遍) ★★★★★
著者は、宗門人ではない自分がなぜこのような仏教の本を書くのかについて、「民芸運動」に携わってきた経緯をとおして、次のように説明しています。ーーどうして無学な人々のつくる「工芸品」が素晴らしいのか? 場合によっては、天才たちのつくる「芸術作品」よりも一般民衆のつくる「生活用品」のほうが美しいのはなぜか? 著者はそこに、仏教(特に浄土宗)と響きあうものがある、というのです。芸術など全く意識していない職人の繰り返す作業が、何物にもかえがたい美や味わいを生み出す。無欲の凡人が天才の自力を超える。

仏教には大きく二つの考え方があります。聖道門(自力、難行)と浄土門(他力、易行)の二つです。様々な行をつんでこの世で聖なるものを獲得しようという考え方と、念仏によってあの世で往生を得ようとする道です。本書で主に語られているのは後者です。浄土宗(法然)→真宗(親鸞)→時宗(一遍)という流れですが、著者は特に一遍を高く評価しています(一遍上人は、死の近づくのを知って、最終的に「南無阿弥陀仏」以外の言葉はすべて蛇足だと考え、所持していた一切の文章を焼き捨てました。そのため、時宗には本典にあたるものがありません)。

救われたいと思って念仏しているなら、それはまだ他力に徹していない、念仏の理想は空念仏だ、というのが著者の考えです。救済を超越したところで、念仏が念仏する。念仏が念仏するとき、美は美醜を超えるーー。「無」ではなく「空」、という仏教哲学の究極的な姿がここにあると思います。難解な専門用語が並んでいる訳ではなく、仏教の入門書としてもお勧めします。