待望の初期短編
★★★★☆
収録作は、表題作の「トランシルヴァニア・アップル」(1982年)と、「エキセントリック・シティ」(1986年)とその続編「プラチナ・キラー」(1987年)の3作。
個人的には、タイトルと評判だけを聞いて、ずっと読みたいと思っていた表題作に期待していました。
「トランシルヴァニア・アップル」は、出世作となった『マルチェロ物語』と同時期に書かれた作品。樹氏らしさが存分に発揮されてはいますが、盛り込みすぎで消化不良気味という感じも……
「エキセントリック・シティ」シリーズ(といっても、この2作だけですが)は、『パッション・パレード』と同時期の作品。漫画家としての成長か、白泉社の看板作家としての自信なのか、表題作と続けて読むと、語り口に余裕が感じられます。
ストーリーに直接関係するわけではありませんが、『パッション・パレード』をお読みの方は、にやりとさせられるところがありますよ。