お勧めの一冊
★★★☆☆
女好きで、金遣いがあらい、二代目の開業医を主人公にした殺人小説。完全犯罪を狙う医者にスポットを当てているが、それを暴く刑事がこの作品には出てこないんですよね。珍しい??下巻はどうなるのか楽しみ。
スリラーでもあり、コメディでもあり
★★★★☆
松本清張といえば、日本を代表する推理作家なのだけれど、ぼくの印象では、日本を代表する心理小説家なのだった。
清水義範の心理小説もおもしろいが、松本清張には、「深刻な」心理小説を書けるということで、読み応えがあるのだ。
この悪い奴らは中でも傑作だ。松本清張は、この中の登場人物のいったい誰がいちばん「悪いやつ」と思っているのだろう?
あとがきの小松伸六さんによれば、槇村隆子だそうだ。
ところで、この本を読んでいて、不謹慎にも「これはコメディではないのか!」と思ったのも事実だ。
主人公の戸谷信一は、ワルのはずなのだが、どうにも間抜けというか、世の中を軽んじているというか、それはコメディの主役の言動そのままだ。
不思議だ。それなのに、深刻な社会は小説として読んでしまうのだから。
赤ちゃん以下のオトコ
★★★★☆
主人公・戸谷は見事なまでの「バカ殿」。「黒革の手帖」の元子も金を自分の努力では作らずに他人からゆすり取るばかりで、調子に乗って最後は自滅してしまったが、この場合はもっと上に行きたいという野心ゆえだったし、対峙したのも闇に紛れて悪いことをしている連中だった。だが戸谷の場合は、子どもがだだをこねているのと同じ。放り出している病院を支えてくれている人たちをモノのように扱い、少しでも自分の気に入らないならすぐにクビという考えに持っていく。自分が失敗したら他人や運のせいにするばかり。例え親の七光りでも一応医者になれる頭脳を持っているならば、もう少し先のことも見通せるだろうに、何でもかんでもその場限りでしのげば何とかなるという様はあまりに無教養で幼稚。骨董通と自惚れていたら、手にしていたお宝はニセモノばかりだったというところにも、こいつの浅薄さがよく出ていた。犯罪者にはたいてい暗い過去や心の傷があり、完全に悪者してはいけないという気持ちをどうしても持ってしまうが、戸谷の場合はまったく同情しなくてよかったから、読んでとてもスッキリした(笑)
(笑)!!
★★★★★
初めて読んだのは、ドラマ化される前でした。
まぁ〜主人公の戸谷が悪い悪い!!!途中おかしくなるほどでした。
戸谷が追い詰められて行く様に、とても引き込まれました。
誰が悪いのやら
★★★★☆
亡父の後を継ぎ病院長となった戸谷信一だが、熱心に患者を診ることもなく、経営は人任せ、当然のことながら、経営は逼迫する。
彼が考えた事といえば、医院長という立場を利用して、金持ちの女達を騙して絞り取ればいい…。
金の為に、女を利用する戸谷、戸谷と結婚したいが故に、夫の殺害に協力する妻と戸谷を慕う看護婦等々、色と欲が絡まりあった男と女の愛憎劇場。
まるで、昼ドラのような展開です。
50年も前の小説ですが、男と女の関係や、金や欲に対する人間の執着は、今も健在です(あたりまえか)