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明治天皇という人

価格: ¥1,995
カテゴリ: 単行本
ブランド: 毎日新聞社
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明治は面白くなりにけり ★★★★★
いわゆる、暴露本ではない。
資料を丹念に読み込みながら「天皇」の本質に迫った、興味津々の評伝。

左上に表紙(カバー)の画像があるが、これは本文によれば、
明治44年11月、福岡県内で行なわれた陸軍大演習のさいの
撮影写真をもとにしているという。
「顔は明らかにむくみが出ており、腎臓を病んだ症状があらわれている」
とのこと。
明治天皇は、糖尿病の悪化による内臓疾患が進み、翌年7月崩御。

維新草創期の西郷隆盛、山岡鉄舟、大久保利通、隆盛期の伊藤博文と、
高校生でも知っている著名人の逸話もふんだんに出てくるが、
天皇の竹馬の友だった侍従・藤波言忠の意外な活躍がまず面白く、
横井小楠、元田永孚、井上毅と続く、肥後熊本藩出身者が培った、
人格面と制度面の影響力の大きさにも、改めて驚く。
また、陸奥宗光と大隈重信が、なぜ天皇に嫌われたか、ということを
検証することで、天皇の人間観が浮かび上がってくるくだりもなかなか。

もちろん、福沢諭吉や、蘆花、漱石など、有力な文筆家が残した
天皇像についての言及も粗漏はない。
彼らを含め、多くの事績と発言の紹介、豊富な記録の分析による的確な叙述が、
明晰な「明治天皇像」を結ぶことに成功しているといえよう。

なお、最初に触れた画像は、本文中では明治天皇の最も有名な「御真影」
と並んで掲載されている。こちらは、キーン『明治天皇』第4巻(新潮文庫)
のカバーを飾っており、「大帝」としての威厳に満ちている。
本書が「天皇の肉声」にこだわり、最晩年の“横顔”で装ったのは、
装幀家(菊地信義)の意向があるにしても、キーン著作とまことに対照的。

キーンさんの大著(文庫4冊!)はちょっと、という人も、
あちらを読んで「?」「!」な方も、ぜひお勧め。