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明治天皇〈1〉 (新潮文庫)

価格: ¥746
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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ある程度の知識がないとキツイ ★★★★☆
 本書は、明治天皇から見た明治史を描いた作品です。しかし、第一巻の主人公はどちらかというと父・孝明天皇です。

 司馬遼太郎などの作品に慣れ親しんできた自分としては、ひたすら淡々と客観的に進んでいく話には少し慣れるまで時間がかかりました。特に一文が長い。カギカッコがないので一ページを読むのにも普通の小説よりも時間が掛かる。幕末、明治維新に興味がないとかなりきついです。

 初心者が読む本ではありません。初心者から次のステップに進みたい方、中級者向けの作品と言えるでしょう。

維新と明治を考察するための重要参考図書 ★★★★★
今までに「明治維新」というと、坂本竜馬、西郷隆盛など、
武士階級の活躍が多く取り上げられてきていた。
「征韓論」、「日清戦争」、「日露戦争」でも、
軍人や元勲たちの活躍しか取り上げられなかった。

が、維新の旗印となり、軍の最高責任者となった天皇は、
このとき、どう振舞っていたのだろうか。
これに対する答えを述べている本は、驚くほど少ない。
そういう空白領域に思考を向けるための、貴重な本である。

本編は、いたって簡潔に記述されていく。
原因があり、結果がある。ただそれだけのシンプルな内容。
歴史的根拠のある資料を裏づけとし、考察は最低限。
学者である著者が、事実をありのままに紹介してくれている。
リファレンスの紹介も多く、後で調べながら精読するのにも助かる。

素人にとってわかりやすいよう、話を整理してくれている点も良い。
同時期に進んでいる、複数の重要な政治問題を章ごとにわけ、
読者の思考に負担をかけないようになっている。

時代背景説明も丁寧だ。第1巻序盤では生誕前にまで話をさかのぼったり、
第4巻の終わりには崩御後に起こった乃木の殉死にまで触れてくれる。

この時代を総括して知るために必要な材料は、
この本の出現で、総て揃ったのではないだろうか。
あとはこの本と、お手持ちの武士階級、軍人たちの活躍を描いた本を読みながら、
この時代に思いを馳せるだけでよい。
これまでは得られなかった時代像が思い描けるのは、間違いない。

ただしこの手の歴史にかかわる本は、著者の主観がどうしても入る。
よって自身で反芻した上で解釈をする必要がある。
この本も例外ではないということを付け加えておく。
読み進めればその価値がわかってくる本 ★★★★★
(1)どんな本か
 「明治天皇」のタイトルであるが、まだこの第1巻あたりでは、幕末から維新の頃の記述が中心であり、幼少であった明治天皇の存在感は薄い。むしろ、父であり先代天皇である孝明天皇の記述の方が多い。
 著者は、天皇だけでなく、将軍や幕府重臣、諸大名、公家など多くの人々をとりあげ、それぞれの人物が歴史に果たした役割を淡々と記述している。西郷や大久保、竜馬、勝などのヒーローを中心に書くわけでなく、明治天皇に加重にスポットをあてて書いているわけでもない。
 特定のヒーローだけが歴史を動かしたかのような歴史書・小説とは一線を画しており、乱や戦いの記述も非常に抑制がきいた記述にとどめている。その結果、まるでトルストイの「戦争と平和」のように、多くの人物が大河のように歴史を形作っていくことを記述した本になっている。

(2)おもしろいか
 はっきり言って、ヒーローが活躍するような本ではないので、少したいくつかも知れない。しかし、幕府がどのようにして崩壊に向かい、大政奉還までしなければならなかったのかがよくわかる。
 また、古い伝統の中で外界と隔離されていた皇室が、急速に、為政者として、現実に対応しなければならない立場になっていったことを知ることができる。

(3)まとめて言えば・・・・
 やや忍耐を要するが、読む価値のある本。多くの人々の行為や時代そのものの流れる力が、大河の奔流のように歴史を形作っていくことのおもしろさを感じ取れる。
 また、天皇のようなテーマを選定すること自体、外国人の著者でなければできにくい要素もあると思われ、貴重な本といえる。