「紀尾井坂の変」以降はあまり詳しくなかったのだが・・・
★★★★☆
大久保利通が暗殺された、「紀尾井坂の変」までは、司馬遼太郎の「翔ぶが如く」で読んで知っていたのですが、それ以降というとあまり詳しくなかったので不安でした。しかし、多少読むスピードは遅くなりましたが、大丈夫でした。
「翔ぶが如く」以降の時代を読んで改めて感じたことは、「明治の時代ってすごい」ということです。旧習を改めて新しく物事を始めるということの大変さを改めて感じました。そして、「今の日本があるのはこの人たちのおかげなんだ」ということを再認識しました。
起こったことを坦々と進めていく嫌いはありますが、明治という時代を感じるにあたって、本書ほどの良作はそうはないでしょう。幕末に興味を持ったら、その次に読んでほしい一冊です。
なかなかおもしろい
★★★★★
(1)カバーしている時期について
ドナルド・キーンによる「明治天皇」の第2巻。
第1巻は江戸末期の動乱から明治政府への移行期を描いているが、第2巻は明治初期の廃藩置県、佐賀の乱、西南戦争、大久保暗殺などの時期をとりあげている。第1巻同様、著者は淡々と記述しているが、読み進めるうちに、ほんとうにいろいろなことが短い期間に立て続けに起きたすごい時代だったことが再認識できる。
一方、対外的には、朝鮮出兵論争はもちろんとして、ほかにも台湾問題、琉球問題、ハワイのカラカウア王の来日など、アジア外交が重要になってきた時代でもあった。
(2)明治天皇について
第1巻では幼少期で存在感の薄かった明治天皇であるが、第2巻になると、徐々に日本の置かれた立場や政治情勢を認識し、重要な役割を果たすようになるさまが記述されている。著者は、抑制のきいた記述ながら、明治天皇に敬意をもって著述している。
(3)おもしろいか
第1巻のレビューにも書いたが、記述が淡々としており、西郷や大久保の最期もあまり臨場感がない。その意味では、歴史にドラマ性を求める読者には向かない。
一方、歴史を客観的にみつめなおしたいという読者には、興味深く有益な本といえる。