心に沁む美しさ
★★★★★
とある道の曲がり角まできたとき、遭遇した墓地、そこには無数の小さな明りが、夜の中で風に揺れていた。どちらが空でどちらが地か分からないこの星々の死の深淵を埋めるように、「私」とダーティは互いの肉体を貪り求めあう・・・。
バタイユの小説に登場するキーワードはいろいろあるでしょうが、この小説で私の心に留まったのは「星空」でした。
黒い画用紙に白い砂を撒き散らせば砂は活き活きと美しい──星々もまた、あの寒々とした暗闇なくしては、その煌びやかさは失われてしまうのでしょう。寒々とした孤独感、死、それらを思わせる空の深淵に、これほどまでに美しさを語る魅力があるなんて。
何度も読み返したい小説でした。