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マダム・エドワルダ―バタイユ作品集 (角川文庫クラシックス)

価格: ¥540
カテゴリ: 文庫
ブランド: 角川書店
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訳文が素晴らしい ★★★★☆
表題作はバタイユが匿名で出版したポルノグラフィーだ。出版当時(1941年)はどうだったかわからないが、現代の我々の目にはその実用品としての機能は極めて少ない。訳文の素晴しさも手伝って、一種の格調高さがある。

収められている「エロティシズムと死の誘惑」(講演と討論の記録)が読みごたえがある。残念なのは、日本語訳の出ていないエロティシズム文学が出てくること。私にフランス語の能力があれば読んでみたいのだが……。
生田耕作に敬礼 ★★★★☆
正直なところを書くと、冒頭の小説「マダム・エドワルダ」にはあまり感心しなかった。「死者」「眼球譚」のほうができがいいからである。逆に言うと、「マダム・エドワルダ」のみの本だったらこの本は☆3つくらいだろうな。
翻訳はジュネ「葬儀」などで知られる生田耕作。このどぎつい、かつマジメな奇怪小説をよくぞ翻訳してくれました。正直、他のバタイユ本には感心しなかった。が、本書は例外である。話は変わるが、バタイユはニーチェ同様、苦痛の末、亡くなったそうだ。かわいそうに。
そこら辺のエロ本よりも本書は刺激的であろう。まあその点は置いておいて、こんなへんちくりんな本をうまい日本語にしてくれた生田耕作にはいくら感謝をしてもしすぎることはない。ありがとうございます。
極めて明快な性描写 ★★★★☆
この小説というか散文はまぎれもなく露骨な性描写にあふれています。
とてもここには書けない性的な比喩、隠喩を用いています(笑)

巻末には難しい解説が掲載されていますが、そんなのほっておいて
バタイユの文章を味わって欲しい。

但し、ここまで徹底的にエロスに忠実なのは逆に哲学的になる
ということ。
逆説的に思えますが、もし人間が徹底的に快楽、快感を
味わった後、何を考えるかをテーマにしています。

そこまで考えるには私も本書を読んだ後歳月を要しました。
それよりもまず本書を読み飽きるまで味わって欲しい。
とても一度や二度で味わいきれないエロスのエッセンスが
凝縮しています。
免疫をつけて ★★★★☆
始めの『マダムエドワルダ』と『死者』では露骨過ぎる表現と、文章から放たれる悪臭に顔をしかめ、「この変態!!」と著者を罵倒しながら読み進める。

三つ目の『眼球譚』では、しっかりバタイユ免疫が出来ていた。
欲望の赴くまま、好き放題やっている16歳の少年少女。二人の間には愛などと言う分かりやすい感情は存在しない、取り憑かれたように求め合う魂たち。
読みすすめるうちに「今度は何するの?」みたいな期待も生まれて来るが、それを裏切らない展開!
そのクライマックスの舞台はなんと教会...
カトリック信者であったが後に信仰を捨て無神論者となった著者の経歴が頭をよぎる。
アグレッシブな内容だった。
(『眼球譚』の後篇腹案はいらなかったように思うが)

後半の『エロティシズムに関する逆説』では、著者がエロスを非常に常識的な位置に考えている事に驚いた。
絶対に変態野郎だと思っていたのに...
興味があるなら… ★★★★★
この本には「眼球譚」も収録されています。
私はマダムエドワルダはちょっと具体的すぎて感情のシンクロ率は眼球譚ほど上がりませんでした。
世の中には自分が異端である、という事を感じながら生きるタイプの人間が居ると思います。
生きる、と言う事はおかしな事です。おかしな事だと感じてしまう自分は異端だと考えます。
私達の持っている倫理観なんて狂ってますね。
でもそんな世界で生きている。
とかなんとか考えるのが好きな人にとって狂った社会で生きるのも楽しいよ!と作文しているバタイユの小説を読むと、世の中楽しいじゃん!と思えます。数少ない感情に訴えかける本能と感覚の小説。
妄想内の安全で唯一至高の官能。