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ゆめこ縮緬

価格: ¥1,680
カテゴリ: 単行本
ブランド: 集英社
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贅沢な短編集。 ★★★★★
いつものごとく、描かれる世界は琥珀色した幻想の世界だ。ぼくは皆川博子の一連の幻想物を読む時、いつも夢の不条理と原初的な恐怖を味わう。そこには一種の麻薬のような常習性が存在し、何度でもそこに溺れ絡めとられる悦びがある。彼女の描く世界を理解せずとも同じ目で見ていたい。切実にそう願いながら、ぼくはページを繰る。到達できる高みは個人の力量ゆえ、人それぞれだ。ぼくはぼくなりに、彼女と同じ世界を見、体験し、消化していきたいと願う。彼女の歩いたあとの臭跡を辿りながら、ある意味法悦にも似た悦びを感じて追いすがる。これぞ読書の愉楽。もって瞑すべし。
とまあ、ノロケはこれくらいにして本短編集なのだが、相変わらず唸ってしまうのである。鮮やかで衝撃的な幕開けで強引に渦中に引きずりこみ、有無をいわさぬ展開で一気にラストまで引っぱり、満足のため息と共に終焉をむかえる。全八編クライマックスだといってもいい。その中でも特に印象に残ったのは、仕舞た屋風の煙草屋でのなんとも奇妙なやりとりがいきなり魔界に豹変する「文月の使者」。九尾の狐で有名な玉藻前の怪異譚を下敷きにした「影つづれ」。み、みィと鳴く地蔵が不気味な「桔梗闇」の最初の三編だ。皆川博子の描く数あるイメージは美と残酷を対立させることなく巧みに溶けあわせ、喜びと痛みを同時に味わせるという離れ業を、いとも軽々とこなしてしまう。なんとも贅沢な短編集だった。
幻想小説の傑作短編集 ★★★★★
幻想短編集。ハードカバーの表紙は着物の胸元がはだけた和風な子供の流体間接人形のなのでかなり妖しい。短編のほとんどに影のある幼い子供が登場する暗い物語だが、そのなかに蠱惑的な美しさがある。幽霊が現れたり、異世界に紛れ込まなくても、これほど幻想的に物語が書けるものかと驚かされた。

ほとんどの話が大正か昭和初期あたりの裕福な屋敷に生まれた子供を中心に書かれている。登場人物や家族関係、生活など現実を事細かに描写しているが、読んでいると薄もやがかかったように現実感がない。とてもリアルな夢をみているようだ

幼年時代の妖しさ ★★★★☆
陽だまり、細い路地、砂場、びー玉、人見知り、なんとはない淋しさ。大人の秘密から疎外され、隠れて家に置いてある恋愛小説を読む。怖い夢を見て真夜中に目が覚める。歪んでぼやけた世界。すべてはおもちゃであり、すべては無意味で、巨大な柿の木に吹く風が自分の心そのものだった。・・・そんな忘れていた子供時代を思い出させた短編小説集。この怖さは山岸涼子の漫画にも似ている。