エディなら行くぜ
★★★★★
エディ・アウカウという偉大なサーファーの伝記であり、彼を通してハワイの文化、スピリットの復興を描いた素晴らしい読み物だ。アイカウ家の人々とエディは正にハワイ・スピリットの中心に位置する人々であり、ハワイの文化と海と密接な生活に恩恵を受けた心豊かな人々である。エディがサーファー、ライフガードとして成長していくと同時に、人間的にとても広い心の持ち主になっていくところが印象的だ。
エディはまたとても謙虚な人物であったようだ。壮大な海の中で一人の人間がいかにちっぽけなものであるかを悟っていたのだろう。本書にも出てくるランディ・ラリック氏と以前話したことがあるが、彼もASPのコンテスト・ディレクターという要職にありながら、実に気さくで気取らない人物であった。偉大なサーファーには謙虚な人が多いようだ。
サーフィンを通して海から得られるものは大きく豊かで、そして時として悲しい。波乗りは本当に楽しいが、海では死ぬこともありえるし、また現実の幸福な生活とは必ずしも両立しないという感覚はサーファーのみならず海を生活の一部としている人たちにはわかるだろう。サーファーではない人にも、ハワイに興味があれば是非一読を勧めたい。
随分前だがワイメアに行った時、波と自然にばかり気を取られエディの像に気づかなかったのが悔やまれる。
最後に、内容もさることながら翻訳も素晴らしくとても読みやすい、ということを伝えたい。