元気に戻す対策では幾つかはっきりしないところはあったが、分析部分は数字に疎い私でもなんとか付いて行けるレベルだった。
家計というのは日本経済の土台部分である。上から下を見るよりは、下から上を見たほうが物事の本質ははっきり見えるようになる。
それではなぜ家計に注目するのか。経済行動を行う主体は、家計、企業、政府に三分されるが、経済の規模からすると、実は家計が一番大きい。にもかかわらず、景気循環や経済成長を論じるときには、企業や政府の行動に注目することが多く、家計消費のあり方に注目する論者は少ない。ここに、家計に注目する意義がある。
第一の問題についてであるが、バブル崩壊後の長期不況下において、従来の財政・金融政策が効力を発しなくなったとされるが、その理由のひとつとして、将来への不安という心理的要因が家計消費を冷却させていることが挙げられる。そして、それら生活不安を解消するためには、年金、医療、介護など社会保障制度の抜本的な改革が求められると筆者は考える。具体的には、普遍主義の考え方に立ち、並立する制度の統合・一本化、財源の税収への移行による、高福祉の実現を唱える。もっとも、日本では公共部門の提供するサービスに対する不満、不信感が強いため、国民は簡単には高負担を受け入れない。そこで、公共部門のサービスの効率化が避けられないとされる。
第二の問題については、高度成長社会から低成長社会への移行にともない、華美で贅沢な消費の抑制、「働きすぎ」から脱し余暇を楽しむような人生観への転換の必要性が唱えられる。