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犬たちの隠された生活

価格: ¥1,680
カテゴリ: 単行本
ブランド: 草思社
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良質な「犬の大衆文学」 ★★★★★
とにかく洞察的な記述に富んでいる。
作者はアフリカで長きにわたりライオンを観察した体験もある。猫たちの隠された生活
文化人類学者であるが、根っからの動物好きのようである。
犬の本質を垣間見ているような臨場感を感じつつ、「読書」を楽しめる。
最近改めて読んでみたが、数年おいて繰り返し読んでみたくなる本である。
この書に触発された「犬の研究家」はかなりいるのではないだろうか。
挿絵もクオリティーが高い。間違っても文庫本にはしてほしくない。
文芸社がこの書の版元を買収したようだが、くれぐれも大事に取り扱っていただきたい。
ロングセラーとして読み継がれるであろう良質な「犬の大衆文学」のひとつ。
犬たちの壮絶で高貴な生活 ★★★★★
まず、表紙に惹かれました。美しい、野生のディンゴです。

内容は、研究書なのでしょうが、感動で泣きました。

犬たちの意識に興味持った著者の、飼い犬につての観察と考察です。
著者の犬たち(パグ、ハスキー、ディンゴなど)は、一時期は11頭にもなり、庭に巣穴を構える1つの群となります。

犬どうしの夫婦や親子間の愛情のエピソードは心暖まるものでしたが、ルールを守ることに関するエピソードは壮絶で、胸を突かれました。
ある時、順位第2位の雌犬と最下位の雌犬が同時に妊娠、出産しますが、本来、1つの群には一腹の仔しか居てはならないのです。劣位の犬の妊娠は、望んだものではなくアクシデントでしたが、その仔犬達は排除されなくてはならない。その作業が実行された時、一番苦しんでいたのは母犬ではなく、それを実行した犬の方でした。
なんと、厳しい世界でしょうか。

しかし、そのとき著者に1匹だけ救いだされた子犬を、今度は順位1位の雌が養子にして育てます。人間が与えたのではなく、犬本人が自分でその仔をくわえて行って育てたのです。
ルールには厳しいけれど、一旦それが守られたなら、小さな命を愛し、守っていくのです。

また、最下位の犬が再び出産した時には、他に仔犬はいなかったので、子ども達は無事に育ちますが、それが著者も見たことが無いほどの美貌の犬に育ったそうです。ディンゴの金色の毛とハスキーの青い目、均整の取れたすらりとした体・・・。「見たい〜!その子の写真を見たい〜!」と思いました。

何十年にも及ぶ犬たちとの生活の最後の方に、著者は犬の意識に近づきます。その部分の描写は、私も、是非そのように暮らしたいと憧れるような穏やかで美しいものでした。

霊長類とは異なる次元の世界へ… ★★★★★
活字を読み始めると次々に絵が現われ、動き出す。
知人から預かった雄のハスキー犬、ミーシャ。そこからすべてが始まる。
優れたナビ能力をもち、遠出をし、自由自在に動くミーシャ。
著者は知りたいと思う。どこに行って、何をしてくるのか?何が目的なのか?
何を望んでいるのか? 犬は世界をどのようにとらえているのかを。
文献を調べても著者の知りたいことは何もでてこない。そこで自分で観察を始める。
ミーシャを、彼の愛した飼犬のマリアとの子供たちを。他の飼犬たちを。彼らの集団を。
著者が感じとったと思われる犬たちの世界について書きたいけど、書かない。
この本をこれから読む人に直接味わって欲しい。著者の文章を。
静かで美しい。


犬はひとりでいるとき、何をしているのだろう ★★★★★
11頭の飼い犬を、飼い主ではなく「学者」として、約30年にわたり観察しつづけた記録である。

犬が「自分」や「仲間」や「親」や「子」をどのように意識しながら生活をしているのか。それがまず、大変興味深い。集団の中での自己意識、というレベルでは人間もあんまり変わらないんじゃないか、という気がしてくるのが不思議だ。

飼い主としての愛情、犬たちとの心温まる交流といったエピソードも、もちろん膨大にあっただろうが、本書は、飼い主の感情は徹底的に廃し、犬の個体としての行動、犬社会のなかでの行動を坦々と綴っていく。それがために、全体に感情の起伏を抑えた大変静かな印象の本であるが、逆にその背景にとても大きく深い犬たちへの愛情が感じられて、それが静かな感動を呼ぶ。

動物を愛する人にとって、名著といっていいだろう。

不況下に生き残りをかける時こそ動物行動学系の本を読め! ★★★★☆
 世の中は「弱肉強食」。本当は誰でもわかっているはずなのに、何故か日本人は「美しい言葉」で真実を隠そうとする。そして、隠そうとする人程、真実を熟知していたりする。

 人間も動物である。だから、人間社会が「複雑怪奇」と感じたら、動物の行動学系の本を読むといい。そこでは欲望のベクトルが裸になっている。

 本書79頁に「わが家の犬たちは…たがいの序列を見なおし、再編することに、多大の時間と精力を費やしていた。」とある。そう、権力争いと、それをひっぱるアッパークラスへの上昇志向は、人間特有のものではない。

 「当たり前のこと」だと思う。でも、その「当たり前のこと」がわかんなくなっているのが、今の、この、日本の、日本人の現状なのではないか?  内からわく自分の「したい」に、躊躇することの多い人こそ、動物行動学系の本を読もう!

 この本の163頁に「…そうした確固たる拠点ができてはじめて、自分がどこに帰属するか、どこに帰ってくればいいか、どこで仲間をみつけ、仲間に見つけてもらうことを期待できるか、そうしたことがはっきりするからである。」という一節。これ、犬たちの行動を観察した結果の考察だよっ!信じられる?まさに、人間の社会に対する鋭い考察だよね。

 複雑に見える人間社会を裸にできる目を養うには、動物やこどもの社会の観察を通すのが一番!同じ著者の新刊も出ている。きょこちゃん、これも期待している。