はじめに、と題して取り上げられているトルコのケマル・アタソイの事例が凄かった。これは著者の共同研究者ユルゲン・カイルが報告したもので反論は難しいと思いました。またハーラルドソンという別の共同研究者の発表した一例も極めて説得力のあるものであり、こうした研究発表者をどれだけ信じられるかがこの本のポイントだと思いました。

本書は「前世」を記憶し、それについて語る主に子どもたちについて行われた網羅的な研究の総括である。
筆者は訓練を積んだ「科学者」として、思い込みやタブーを排した、とらわれのない思考とはいかなるものかを提示してくれる。
筆者の抑制の効いた思考の後を辿れば、頭から否定してかかる態度も、無批判に何でも受け入れてしまうことも、ともに、当を得たことではないと得心されるだろう。
「99.9%は仮説」 竹内薫 著 などと併せてお読みになることをお勧めしたい。