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本格小説〈上〉 (新潮文庫)

価格: ¥820
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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読み物としては面白いけど ★★★☆☆
不朽の名作「嵐が丘」を本家取りして、
実に日本的な女のメロドラマにしちゃった。

著者はインテリだから
物語の構造・時代背景 考え抜かれて書かれているけれど。
頭のよさと筆力だけでは、文学の底なしの闇と奥深さは描けない、
というよい見本だと思う。
門構えに感動する人向き。
あまりにも嵐が丘 ★★★☆☆
ケータイ小説に代表される「感覚」だけで垂れ流されている独白的自慰的自己満足的私小説とは見事に一線を画した「本格」にふさわしい小説だと、それは認めます。脱帽。感服。見事な文章力はやはり、近代小説を読破したという素地によるものなのでしょうか。しかし、あまりにも『嵐が丘』。作者自身がその重複を認めている上でそれに異を唱えるのは野暮なのかもししれませんが、しかし、読めば読むほどこの物語のどこが『嵐が丘』と違うのか、イメージの重なりがぐいぐいと胸に食い込んできて、途中からは、どんなにリアリティを伴ったディテールも、すべて『嵐が丘』の単なる翻案ではないんですよ!という作者の言い訳のように読めてしまってダメでした。水村さんのほかの作品は読んでいませんが、この方、いわゆる「独創性」はお持ちではないのでは? それにしても、閉鎖された牧師館であれだけの名作を生み出したブロンテ姉妹ってすごいなあ……。改めてその独創性に打ちのめされたわたくしでございました。
すごく面白かったです ★★★★★
年末年始を利用して読みましたが、久しぶりに夢中になって読むことができた小説です。著者が愛し、本作の下敷きとなった『嵐が丘』は、20代に1度、40代に入って2度(2度目は違う訳です)、読みました。すぐれた作品だとは思うのですが、どうしても楽しめませんでした。それに比べ、本作はとても面白かったですし、印象にも残りました。著者と辻邦生氏の往復書簡『手紙、栞を添えて』も併せて読んでもらいたいです(特にプロローグ)。
こんなに満足したのは久しぶり、というか初めてかもしれない ★★★★★

人生とは、持って生まれた容姿や能力や性格、生まれてきた時代や国、家族や友人など回り逢う人々と、さまざまな要素に影響されるものであること。それぞれが紆余曲折ある違った道を歩むことで、与えられた時を刻んでいくものであること。そうやって少しずつ、しかし確実に時代が変化していくことを感じさせられた大作でした。

展開のある筋、さりげない内面の洞察を交えた人物描写、目の前に景色が浮かぶような風景描写、豊富な語彙、繊細な音楽の旋律のような文章、どれをとっても大満足でした。フィクションはあまり読まないほうですが、この本を読んで、「小説って面白い!」と、すぐに水村美苗さんの他の小説も読んでみたい衝動に駆られましたが、面白すぎて短期間にこの本を読むことに時間を費やしすぎてしまったので、読もうかどうか迷っています。

小説を読んでこんなに満足したのはとても久しぶりというか、初めてかもしれません。

「嵐が丘」のストーリーを借りて、戦後日本の復興・繁栄を描く ★★★★☆
この本は、漱石の晩年の傑作「明暗」を読まなければ、たぶん読むことはなかったろう。
もちろん著者水村の「続・明暗」があるのを知ったからだが、幸か不幸かこちらはまだ読んでいない。

一言で言うと、本書はタイトルで損をしている。
「本格小説」なんて、一見、人を馬鹿にしたようなタイトルだけ見て、読もうなんて思う人は
まずいないだろう。「KARUIZAWA物語」では陳腐かなあ?
もちろん、「私小説」から続く、著者のこのタイトルへの思いはわかるのですが。

本書の下敷きになったというエミリ・ブロンテの「嵐が丘」は超有名小説だが、かくいう私も読まず嫌いの一人でした。今回、本書に触発されて中公文庫版の新訳で読んでみた。

両者を比較すると、「嵐が丘」はある種の観念小説であるのに対し、「本格小説」はそれを下敷きとしながらも、戦後日本の復興期からバブル経済期以降を含め、日本のある時代をリアルに描いている。
1951年生まれの著者にとっては、ほぼ同時代記録である。(ちなみに私も同世代です)

日本文化には、オリジナル作品をベースに、新たな発想で作品を作りなおす(歌舞伎の演目などに多くみられる)独特の翻案文化(本歌どり)があるが、著者の米国実体験も生かし、嵐が丘とは全く異なる新たな物語を創出するのに成功したと言ってよいだろう。