修復家から見た絵画の本
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修復家の仕事内容や仕事を通して気付いたこと、などを紹介した本。修復家のことがよくわかった。初学者にとっても読みやすい。
知らない世界
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絵画を伝承するために、いかに修復家の存在が大きいか初めて知りました。
修復の過程で、絵画の歴史が紐解ける様子など非常に興味がそそられます。
修復家の皆様に感謝です。
画家は感性だけの生き物ではないのです
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修復技術のめざましい発展によって、ルネサンスの名画(ミケランジェロ「最後の審判」、レオナルド「最後の晩餐」等…。近年まで、かなり荒く違う絵になってしまう程の加筆修復がなされていました)を、画家オリジナルの絵画として楽しむことができる、幸せな時代に私達は生きています。
本書は、画家がどんなに綿密な計画を立てて絵を描いているか、等とても興味深く書かれています。修復前で、しかも印刷状態の悪い昔の画集などを観て「昔の油絵って茶色っぽいなぁ」と思っているような人には、眼からウロコな情報も満載です。
でも、画家の意思によって(重ね塗りなどによって)葬られた部分というのは、希少価値の為だけに、他人が覗き見て良いものなのか、少し疑問が残ります。勿論、この方は修復家という立場上、また遺族や持ち主の同意の上の話ですから、当然の行為ではあります。しかし絵を観る時に、「なぜこの瞬間で画家の筆は終わりとされたのか」と、画家のメッセージに想いを馳せることは、下地が何かを知るよりも、より深く絵を理解することに繋がると、私は思います。
修復家の眼、という冷静沈着な内容かと思ったら、最後の「贋作」に言及する部分は、著者の絵画への強い愛情が伝わってきて、同じ想いを共有できました。
絵を見るのも描くのも好きな人には超お薦めです。
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面白い!楽しい!ありがちな個人の意見では無く、修復を通じて科学的に分析された結果を体験談として非常に判りやすく書かれています。絵画への愛情を感じるし、読書が苦手な私でも一気に読んでしまいました。絵画の面白さに触発されて美術館巡りが加速、20年振りに絵描きも再開してしまいました。
絵画の裏話
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名画の修復のニュースなどがあると子供の頃から不思議でした。ぼろぼろの絵が美しい色彩によみがえるなんて!この本を読んで子ども時代からのなぞが解けました。科学に裏打ちされた技術にホッとした素人ですが、なにより著者が修復を通して知った作製過程の裏話、画家の描き方から推察される人柄などがとても興味深い。子供の頃見たコローのうっそうとした森の絵は、もしかすると描かれた頃はもっと違う色彩だったのでは・・・などと思いを馳せるのです。ルオーの絵の修復の苦労話も彼の荒荒しいタッチの絵からは想像もつかぬお話で面白かったです。美術館に美しく展示される絵画の裏や底や表面にこんな苦労とドラマがあるなんて。色々な面で面白い一冊です。