都市には威容、文化、象徴的建築物など権力がその支配力、統治力を発揮するに必要な要素の集合体である。そもそも都市というものは建築物の集合等ではなく権力そのものであり、その証拠として不耕にもかかわらず歴史上、大規模な飢餓が発生したという記録は少ない。むしろ、作物を栽培している筈の農村での大規模な飢餓の方が圧倒的に多いし、また農村で飢餓が発生している事態にあっても都市では食料が余っているという矛盾が現在でも起こっている。
というような内容を中心に従来あまり問題にされなかった新しい視点を交えて都市を論じている。都市の思想・象徴・発生過程などカテゴリー分けされていて読み易い。ただ前半部分の都市の定義付けから権力の論理などまでの内容の濃さに比べて、後半のドラマ、思想などの具体的な事例などが少し薄く感じられた。