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半栽培の環境社会学―これからの人と自然

価格: ¥2,625
カテゴリ: 単行本
ブランド: 昭和堂
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自然か人工か、を乗り越えて ★★★★★
 「自然か人工か」。従来、環境問題や自然保護が語られるとき、その根本にはこの問題設定が課されていました。本書はこの問題設定を乗り越えて、持続可能な環境を維持するためのより適合的な人と自然の関わり方を、国内外の様々な事例から考察します。
 半栽培とは、「野生か栽培か」というような二分法で人間と自然との関係を見る見方を越えて、人間と自然との間にある相互依存の多様な関係のことをいいます。またその多様な関係は人間の社会制度にも反映しており、自然を利用する様々な仕組みが人間社会の中に形勢されています。例えば、本書の第2章では福岡県のモウソウチクの半栽培が考察されていますが、これは明治時代頃に少し植えられたものだといわれています。それが人手をかけずに繁殖し、時代ごとによって竹材としての用途であったり、筍としての用途であったりと変化していきます。そしてその利用のルールも、組合を作って竹材の管理をしていた時期や、施肥をして良質の筍を生産していた時期、そして広がりすぎて管理しきれなくなり、伐採して広葉樹林に戻す時期など、様々に変化していきます。これが単なる「栽培」に止まらない、多様な人間と自然との関係です。
 本書で紹介されている半栽培の事例は、宮城県北上町のヨシ原、長野県佐久市の水田養鯉、兵庫県豊岡市のコウノトリ、沖縄県石垣島の海垣、福岡県北九州市のモウソウチク、アフリカ・コンゴの焼畑、ソロモン諸島のアマウや竹、滋賀県余呉湖周辺水路の魚、茨城県牛久沼の水田、千葉県手賀沼の水鳥、岩手県沢内村や京都府綾部市のきのこなど、多種多様です。それぞれに様々な自然との関わり方、臭覚の仕方があり、それを取り巻く社会制度があり、とても興味深いです。環境学、社会学、そして文化人類学からの横断的なアプローチで、新しい自然との関係を考察する地平が開けることと思います。環境問題に興味のある人には、ぜひとも読んでいただきたい本です。