「序説 倭人について」の価値が高い
★★★★★
最近、長江文明の重要性が指摘されてきましたが、それは稲作中心の長江文明が、漢民族中心で畑作の黄河文明から軽んじられてきたということより、ハッキリいえば、日本のルーツをそこに見ているからだと思う。
鳥越“倭族論”の集大成となるこの本では、アカ族の村の出入り口にしめ縄を吊した鳥居に似た門を見つけ、中国・ワ族(ワはニンベンに瓦=環境依存文字)では女性が赤ん坊まで貫頭衣を着け、日本書紀で記されている探湯(くかたち)も実演してもらったという。
「序説 倭人について」によると倭は「醜い」という意味で、それは顔や全身に入れ墨を入れ、頭の頂に一房の髪を残す髪型が異様なものと映ったからだという。
そして中国の正史に出てくる倭人は日本人のことではなく、こうした稲作で長江文明をつくっていた倭人であり、そうした倭人たちの一部が、前漢の武帝によって散らされ、朝鮮半島の南部や日本列島の九州などにたどり着いたのではないか、と。
しかし、倭というのは卑称であり、それに耐えられず、大倭国->大和国となっていったんじゃないか、ということが書かれています。