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MOT大企業における技術経営 (MOTテキスト・シリーズ)

価格: ¥3,150
カテゴリ: 単行本(ソフトカバー)
ブランド: 丸善
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大企業病に悩む人への処方箋を提示 ★★★★☆
 本書のタイトルは、日本の多くの大企業が悩んでいる大企業病を解決する処方箋を提示すると宣言している。

 この点で、日本の大手企業に勤務する実務者・役員が待ち望んだ本である。実際には、日本を代表する大企業がなぜ製品やサービスの研究開発に紆余曲折し、事業収益が低迷したかを解明する内容になっている。各章の内容は結構平易に書かれているが、研究開発態勢と事業化態勢のつなぎの問題を解説するため、読者に元々問題意識を持つことを要求する。結果として、この本は研究開発や事業の企画や戦略を考える担当者向けに書かれていることになる。

 執筆者は合計5人。責任編集の担当者である西村吉雄氏と西野壽一氏が要所を書いているため、本書は当初の編集目標にこたえる内容にまとまっている。中でも、大企業の企画担当者・役員を代表する西野氏が書く第5章の「中央研究所の役割」、第6章の「大企業病とその克服」、第7章の「バブル経済の崩壊前後で大企業における技術経営はどう変わったか」の一連の解説は大企業の本音が伺える、優れた内容である。

 大企業の研究所代表として米国で勤務した桑原裕氏が書いた第10章の「自前主義対連携・協力」も、日立製作所の研究所の役割の変遷や産学官連携の意味などを平明に書いている。専門家にはやや物足りないかもしてないが、一般の大企業担当者には優れた入門編に仕上がっている。

 本書は、今後の企業の研究開発について強く意識して書店に探しに行かないと、なかなか手にしないだろう。実は、多くの大企業勤務者があまり危機感を持っていないことが一番の問題なのであるが。この問題を解決しようとする試みが、本書発行の狙いなのだが。