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絵画の変―日本美術の絢爛たる開花 (中公新書)

価格: ¥987
カテゴリ: 新書
ブランド: 中央公論新社
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16世紀日本絵画の転換 ★★★★★
 1955年に生まれ徳川美術館の学芸員となった日本美術史研究者が2009年に刊行した、16世紀日本絵画の転換に関する本。唐物鑑賞と文芸・遊興の場としての会所の成立、床の間の成立、同朋衆による座敷飾りの格式の成立、筆様による擬似唐物制作の展開(小画面の大画面化)等によって、16世紀日本では絵画の鑑賞性の高まりが見られた。この時期に流派の基礎を築き御用絵師となったのが狩野派であり、とりわけ二代元信は工房を主導して和漢を融合する芸術を創始し、その孫永徳の様式は後世の規範となった。耕作図、狩猟図、しょう湘八景図、帝鑑図などの中国主題も、この時代に和様化された。他方で、当時の貴族がこうした「上品」の絵のほかに、「下品」の絵のついた扇や屏風、奈良絵本なども使用していることや、和歌を題材とした絵画を伴う扇の草子や合貝において、身近なモノを描く傾向が強まっていることは、当時雅俗の融合も進行していたことをうかがわせる。このような16世紀における和漢や雅俗の混淆が、統一権力による芸術の利用とも相まって、風俗画(不特定複数の同時代人が詳細に描かれて、点景ではなく主題の位置を占めるという、テキストに従属しない絵画)の成立につながったのだと著者は言い、同じく転換期であった12世紀との異同によって、この時代を絵画史上に位置付けている。本書の特徴としては、第一に16世紀美術史を室町時代と桃山時代に分裂させずに連続的にとらえること、第二に16世紀美術を巨匠の作品のみで語らずにその多様性においてとらえる視点(その背景には著者自身の資料収集の努力がある)、第三に上記のような16世紀絵画史の展開を多くの絵画を図示しながら論じていること、第四に絵画の画題・制作方法・鑑賞方法などを包括した形で絵画の転換を論じていることが挙げられる。同時代を研究する者として、私には大変有意義な本であった。
これこそ日本美術史の王道☆☆ ★★★★★
本書はであり日本美術史を専門とする著者が

15世紀後半から、16世紀にかけての

日本美術に生じた大きな変化を「絵画の変」という概念で表し

そのダイナミズムを明らかにする意欲作。


琳派でも、奇想の画家たちでもなく

あくまで王道の画家たちと

彼らが成立する前提である美術史上の変革をコンパクトに論じた著作

地味ではあるものの、大変興味深く読むことができました。


また、内容はけっこう専門的なのですが

文章が平易で、しかも図を多数用いているので

美術史初心者でも、理解できるのがうれしい。


とりわけ興味深かったのは

〈上下〉、〈和漢〉など様々な融合によって

新しい美術が生まれたという本書の中心的な主張や

6章で論じられる主題としての「モノ」の変化。


今後、美術展などに行ったときは

「モノ」がどのように描かれているかにも注意してみようと思いました。


日本美術に興味のある方

とくに琳派や奇想系に強い関心を抱いてきた方にこそ

積極的に読んでもらいたい著作です☆☆