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食べる西洋美術史 「最後の晩餐」から読む (光文社新書)

価格: ¥950
カテゴリ: 新書
ブランド: 光文社
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美術史であるとともに社会史でもある ★★★★☆
食事や食材が描かれたヨーロッパの絵画を材料にした美術史の本。絵を見て、きれいだとか、上手いとか、これは何を意味しているのだろうというだけの感想を持つよりも、時代時代によって、画家がどのような意図で食を描いたのか、その意味するところを知ることができる。具体的には、ヨーロッパでは多くの場合、食という主題がキリスト教に関連した暗喩になっているという謎解き的な話が展開する。その一方で、それまでの宗教画から外れた流れとして、オランダから発した風俗画としての食に関する絵画があり、これが後々には、20世紀の現代アートにもつながっていくようである。美術史であるとともに、社会史・文化史でもあり、また、民衆史的な要素をも含む内容が書かれている。おもしろかった。
思ったよりもシリアスな内容で、読み応えあり ★★★★★
豪華な食材やお菓子についての、いわゆる美食文化の話を勝手に想像していたが違った。背景に一貫して流れているのがキリスト教の影響と身分社会であり、現実には厳しい歴史物語を体験しているようであった。

本書は、絵の中に描かれた「食」を切り口にして、主にルネサンス以降の西洋美術を語るというスタイル。
ある程度、作品や美術史を知っているほうが理解しやすいが、深いレベルの知識は必要ない。

単なる静物画にしか見えない作品に、当時の道徳が周到に隠されていることや、逆に一部の宗教画にある俗っぽさを発見することで、美術作品への関心を深めることができる。
また、国や文化、宗派などによって、食物の扱いに違いを見出せるような解説になっていて、個人的にも得るものが多かった。

巻末のエピローグと、あとがきは感動的。美術に興味のある人におすすめしたい本。
勉強させていただきました ★★★★☆
 著者は神戸大学の助教授(本書執筆当時)で、イタリアを中心とする西洋美術史を研究する人物。
 本書は、西洋絵画に描きこまれた食事や食物についてその時代背景や文化背景を解説した一冊です。

 「中世初期のヨーロッパでは、パンとワインは地中海世界のローマ文化圏特有の食べ物であり、北方のゲルマン世界では、肉とエールこそが主食であった。古代ギリシアでもローマでも、パンには文明の象徴としての役割が与えられており、それを知らないゲルマン人を野蛮であるとみなしていた。」(21頁)
 そしてこのローマの伝統がキリスト教世界に引き継がれたとあります。
 これが聖餐という概念の基礎となり、そのさらに先に、食物をほどこす慈善行為が神聖な主題として絵画に描かれる場合もあったとか。
 こうしたことから、日本画に比べて「食べる」ということが西洋では絵画の主たるテーマになりえたと著者は説きます。
 食べ物ひとつとっても絵画の中における深い文化的意義があるというのは大変勉強になりました。

 時代を下ると、常に飢餓や欠乏の恐怖と隣り合っていた時代には、豊かな食材があふれる静物画が不安をかき消して満足を与えてくれるものとなる場合もあれば、現代のように飽食の時代にはウォーホルなどのポップ・アートに描かれる缶詰製品が、豊かな時代の謳歌となったなど、言われてみればなるほどと思いつつも、絵画が時代を描くメディアとして大きな力をもつものであることを強く再認識させます。
 
 なお、本書で紹介されている絵画のいくつかはそのカラー図版が掲載されていますが、数には限りがあります。ネット上のバーチャル美術館サイトを渉猟しながら本書を繰ることをお勧めします。
カラー図版で見たくなります! ★★★★☆
 特別、真新しいことが指摘されているわけではないが、まずは、テーマがいい。食べる、食べ物について描いた絵画を色々と楽しむことができる。ただ、口絵以外は、白黒なので、インターネットで、カラーの画像を検索して、読むと、一段と楽しめる。そういう意味で★4ツ。絵は全部で白黒100枚、カラー21枚。
 ただ、新書版なので、全体的に絵は小さいので、細部は全くわからない。好きな絵はインターネットで確認したい。ただ、ネット検索しても、見つからない絵が結構ありました。
 いいなと思った絵は、(図1)ラヴェンナ、サンタポリーナ・ヌオーヴォ聖堂(6世紀初頭)の<最後の晩餐>(モザイク)です。魚 二匹が絵の真ん中に大きく描かれ、その周りをキリスト?と12人の使徒が囲んでいる。さっそく、ネットで検索してみたらありました。背景は黄色のモザイク模様。

 ※ギリシア語では、「イエス・キリスト・神の・子・救い主」の頭文字をとると、魚(イクテュス)。

 ※モザイク (mosaque) は、小片を寄せあわせ埋め込んで、絵 (図像) や模様を表す装飾美術の手法。石、陶磁器 (タイル)、有色無色のガラス、貝殻、木などが使用され、建築物の床や壁面、あるいは工芸品の装飾のために施される。この装飾方法は古くから世界的に見られ、宗教画や幾何学模様など様々なものが描かれており、歴史上、カテドラルの内部空間やモスクの外壁などの装飾手法として特に有名である。なおモザイク (mosaque) はフランス語で、英語ではモゼーイック (mosaic)。(ウィキペデイアから)



2回目がおもしろい。 ★★★★★
美術史を勉強してなくても食べ物という観点から話を始めていてとてもおもしろいです。宮下先生が他の美術史本で使ってる難しい専門用語とかもあえて取り除いて分かりやすくしてくださっているようで美術史初心者の私にはとてもおもしろかったです。次はもうちょっと難しめの美術史の話を聞きたいなと思いました。
また、この本は2回目がおもしろいっ!!
1回目を途中で諦めた人もいるようですが、自分には合わないと思っても最後まで読んでみてください。そしてもう一回気になる章だけでも再読してみてください。
1回読んだだけでは分からなかったことも「あぁそうかっ!!」って理解できてすごくいいですよ。