本書は、東大教養学部ならびに同大学院で中国語、広東語等を教えている吉川雅之准教授(文学博士・京都大学)によるCD付本格的学習書。
既存の広東語学習書の内容を数段階掘り下げた内容で、文法知識を体系的に吸収できる良書。
そして、広東語文法が体系的に整理され学術的にも信頼でき、収録例文と語彙も豊富で、付属CDで音声面の学習も充実。
さらには、本書収録の香港の写真、無味乾燥でない例文は広東語学習を楽しくさせる。
したがって、本書は極めて完成度が高いゆえ、広東語を本格的に学びたい初学者はもちろん、広東語学習歴が長い中級上級者にも有益であろう。
ただし、本書は『広東語初級教材-香港エツ語基礎文法1』の題名の通り、広東語文法全てを網羅していない。
したがって、続編の早期出版を希望いたします。

会話本学習だけでは満足できず、思い切って買ってみました。
会話本では「そういうものだ、覚えろ」的スタンスを取るような
内容でも、この本ではかなりしっかり突っ込んで解説しています。
セクションごとの解説もとても丁寧で、本気で勉強したい人、
会話本の「考えるな、とにかく暗記しろ」的なスタンスにいらいらしている
ような、やる気のある人には、うってつけの逸品です。
ただ、この一冊を仕上げるのは相当大変です。
それだけ内容盛りだくさんなのです。

値段も安いとはいえません。
ただし、教材としてのコストパフォーマンスはとてもいいです。

　著者が言語系の専門ということで、語学教材としてとてもシステマティック＆考え抜かれて作られた本です。「初級」とはいえ、この一冊を大まかにマスターすれば、ものすごく力がつく…逆に言えば、1冊仕上げるためにはちょっと労力がいるかもしれません。

　でも写真が多いし、文法説明もよくまとまってるし、1冊あるとなにかと便利な本ではないでしょうか？「もう少し会話もやりたい！」という人は同時進行で香港粤語[応用会話]も使ってみるといいでしょう。

　「エクスプレスシリーズ」にちょっと抵抗感がある本格志向なあなたに。おすすめです。

この本は広東語を学びたいと考えている方に、是非手に取ってもらいたい一冊です。広東語の教材として各課ごとに設定されたテーマに沿って、基本的文法、応用表現、確認ドリルなど盛りだくさんの内容がおさえられています。もちろん発音も丁寧なピンイン表記と付録のCDでしっかりカバーしてあり、この本に沿って学習を進めることで確実に広東語の力がつくように考え抜かれています。そして、この本が従来の語学教材の枠組みを打ち破った点は、広東語の学習をしながら、香港の文化も同時に学ぶことができるという点です。本を開くとその中は香港の町並みや人々の暮らしが窺える写真が数え切れないほど掲載されており、思わず香港という土地に思いを馳せてしまいます。そこには香港の美しい言葉だけでなく、人々、町並み、そして文化を愛してやまない筆者のこだわりが感じられます。語学を学ぶとは単に言葉を学ぶことなのではなく、その言葉を使っている人々、地域、文化についても総合的に学ぶことなのだという視点を教えてくれるこの本を、あなたも是非手にとってみてください。