もっとも、話の多くは当時の税務署や官僚体制の実態を描くことに割かれている。いささか登場人物が戯画的に描かれている傾向はあるが、税務署という組織の内部事情を痛烈に批判したドキュメンタリーとも言える作品となっている。
ただ、清張の作品としては人間心理をそれほど深くは描けていないように思った。上に登場人物が戯画的に描かれている傾向があると書いたのはこの意味である。 こうした点を考えて、推理小説としての面白さは高いものの、星4つとしてみた。