こんな読み応えのあるシリーズになるとは…
★★★★★
1話目「鈴蘭の咲く頃に」、3話目「千一夜」は先に読んでいましたが、2話目「空の青、風の呼ぶ声」は読んでませんでした。なんか重そうだし、長いし、男臭そう(笑)だしと思って。まあせっかくだからと数ページ読んだら、なぜか止まらなくなり、一気にラストまで。
そういうわけで、2話目「空の青、風の呼ぶ声」が一番面白かったです。
見事に男キャラばっかで、血生臭いお話なんですが、とにかく熱い!し、ぐっと来る。ちょっと笑えるところもあり、ほろりと来るところもあり。雰囲気は三国志とか、水滸伝っぽいかな。残虐非道な盗賊集団あたり。家族との絆を胸にひとり立ち向かっていく燕青と、過去の自分を振り返って自省する静蘭と。二人の葛藤が手に汗握る展開で繰り広げられて、最後にはほっと一息。だけど何か熱いものが残ったような読後感で、大変満足な作品でした。
第1巻が出た直後は、まさかこれほど読み応えのあるシリーズになるとは思っていなかった。
それにしても魅力的な登場人物ばかりだなあと改めて感じました。
彩雲国物語はもうすぐ最終章のようですが、楽しみに待ちたいです。
知りたかった燕青と静蘭とあの方の過去がここに!
★★★★★
暗いとか重いという感想の方もおられますが、私は掛け値なしで面白かったです。これまで知りたい!と思っていたナゾがすべて解けたような気がしました。
たとえば、燕青と静蘭の殺人賊時代とか、燕青はどうしてあそこまで「剣」を嫌ったのか、そして剣で秀麗を守るということの意味することの重みとか、静蘭にとっての劉輝とは、とか、静蘭の母についての記述が2種類あった意味とか。。。
そしてなんといっても、薔薇姫と邵可の出会いの真相!秀麗の父、邵可さん!若い!かっこいい! 昔話だと思っていた薔薇姫のお話にはこんな事実が隠されていたとは!
長期連載されている作品は、過去の作品に立ち返ってみると、まったく設定が変わっていたりすることって結構あるんですよね。あれ?この人この巻ではこんなこと言ってたんじゃん・・・みたいな。でも、本作は、改めて過去の作品を読み返しても、まったくブレてないのがすごい!逆に、こんなところに伏線があったのか!ということを気づかせてくれます。
原作者の雪乃 紗衣さんは、巻が進むにつれてどんどん技量が増していってますね。
何度か読んで(6/1編集)
★★★☆☆
・鈴蘭の咲く頃に
先代の王を愛した母子が、妻として子としての愛を手に入れられないかわりに、
実力をもって王から認められようとした、その経過と結果。
第一、第二公子の歪みに脱帽。
ただ歪みを本人たちに追究するには、本人たちが子供過ぎて微妙。
また母が、愛に振り回されたというより、死に際に自分の証を残したかっただけに見えた。
本人が愛を語ってるだけに違和感。
弟を愛して、そのうえで愛された息子に、「自分よりマシ」が酷い。
全てを悟り、死を受け入れている母が腹立たしくも悲しく憐れで、
自分に鈍く、背伸びし過ぎた子供である息子が痛ましい。
両親の愛情の譲歩の形が重い。
王が元凶(結果的に)のわりに、良い人のように書かれている。
子劉輝が愛らしく不憫で、子藍将軍は年齢相応の子。白虹につながる描写あり。
それにしても、朝廷には母と子と傍観者しかいないのかと首をひねる。
・空の青、風の呼ぶ声
少年燕青の過去。
燕青が少年誌の主人公のように、何かを超越している。
それだけに、それでもどうにもできなかった現実がやりきれない。
本来当然のようにあったものが、無くなったこと、
その断片を残すために払われる対価の大きさが痛い。
家族が誇り高く、愛に溢れているだけに仕打ちの酷さにため息が。
燕青の生きた環境と家族の人となりがわかるだけに、重く激しい話。
でもやはり、生きててよかった。
長文により2つのみ。
書き下ろしは、スケールの大きさのわりに一番すっきりで、前向き。
ただ全体的に不自然にカタカナが多く読みにくかった。
家族の絆
★★★★☆
タイトルは「黄粱」これはあとがきにもあるように人の世の栄枯衰退は夢のように儚いという意味。
しかし読んでみると彩雲国物語らしく家族の割合が多いです。
清苑(静蘭)の朝廷という場での家族の形、燕青の決して忘れられない業の深い家族の思い、そして邵可と薔薇姫の家族になるまで、最後に紅家での短いながらも誰もが願続けた一家団欒。
個人的に今回は邵可の台詞が考えさせられましたね。誇り高く在った薔薇姫に対しての人間としての誇り。
本編では最終章が近いらしいですがこれは頭に入れておかなくてはならない過去ですね。。
本編の謎解きな外伝
★★★★★
4冊目の外伝です。
今までの外伝がどちらかというと明るめだったり、
内容的にコメディーに近いものが多かったのですが、
今回は結構暗めの内容です。
清苑(静蘭)、燕青、しょう可の過去の話です。
本編ではっきりとしていなかったものが、
この外伝で結構繋がるのではないでしょうか。
しょう可と薔君の話から、
パパ璃桜としょう可の関係、瑠花が秀麗を狙っている理由、
などがわかります。
清苑の話は宮廷から追放される頃のものですが、
最後の最後で大どんでん返し!といった感じです。
燕青と出会ってから清苑の雰囲気が変わるのが、
なんかあっさりしすぎているようにも感じました。
文章の表現が、含みを持ったというか、
直接的ではない部分が今までより多いように感じ、
一度読んだだけでは『???』になりました。
自分の理解力の問題かもしれませんが…(爆)
それでもやっぱり面白いです。
非常に良いと評価しました。
★★★★★
やはり、政治と宗教(道徳や人の道を説くことと言えばいいのかな?)のお話は癒されます。紗衣さんのユーモアのセンスも最高です。