去年から「西條八十」にハマってしまった。
伝記のようなものも読んだけど、これは別格。
面白すぎるっ!!

私の中で作詞家の「なかにし礼」と
かなりイメージが重なるのだけれど、
すべてにおいて「西條八十」が上。

普通の男なら墓場まで持って行きたいような
恥ずかしい過去も、赤裸々に、なかば滑稽に、
告白してしまう詩人のおおらかさ。
同じ男の脳みそから
刺繍のように繊細な言葉が紡がれていことの不思議。

格調高い詩集と並べたい一冊である。

　私は西条八十の詩や歌についてほとんど知らない。吉川潮の「流行歌」、斎藤憐の「ジャズで踊ってリキュルで更けて」の2冊を読んだだけだが、そんなことに関係なく、本書は面白い。
　女性にまつわる奇譚が実に素直に、こなれた口調で語られており、登場する女性やその女性に戸惑う作者の姿が、時代の雰囲気とともに浮かび上がってくる。
　西条八十は散文も一流だったということだろう。