表題の「天のシーソー」は、どうしようもない現実を、同級生の男の子とシーソーに乗りながら分け合う。いちばん好きなのは「ひとしずくの海」。目をつむって歩いてきた道、目を開けた瞬間、夕闇の町が、海の底に沈む。街灯が、海の底で、夜光虫となる。
著者は『小さな童話大賞』で大賞を受賞。その感受性は、あふれるほど。尽きることなく。忘れかけていた何かを、きっと思い出させてくれます。