入門書としてお薦め! 雰囲気は良く伝わります!
★★★★☆
本書、こうしたテーマに対して興味はあるが、堅苦しく、難しい本が多くてなかなか手が伸びない、という人にはなかなか良い案内書。もちろん、新書という制約で自ずと内容に踏み込むことにも限度があり、網羅的にするわけにもいかないので、こうしたテーマについての知識の豊富な人にはいろいろ注文はあるであろうが、こだわり始めればきりがないこの難しい主題をこの分量で、しかも読み手を引っ張りながら纏めるのはなかなかのもの。いわゆるわかりやすいエピソードばかりの羅列ではなく、文献的な引用もしっかりと交え、勝手なことばかり言い放つという叙述ではないのは良心的。『葉隠』はもちろんであるが、柳生宗矩、宮本武蔵、沢庵、鈴木正三、勝海舟、山岡鉄舟の六人に関しては比較的詳しく紹介されており、名前は知っているが、どう言った感じの人であるのかということに関しては知らないという人には取り付きとしては良いであろう。しかも、本書、著者は剣術の方面に関してはなかなかの造詣があるようで、興味深い情報を与えてくれる。