ある意味、奇書!
★★★★☆
たしかに、高野ファンにはもう知っていることばかりで、
新鮮味はありません。
しかし! 年表だけでも価値があるではないですか!
高野通史として、便利な1冊です。
そして、これくらい編集企画意図と内容が「ずれてしまった」
本は珍しい!
表紙カバーのイラストに脱力しますね、まず。なんすか?これ。
編集者は「13歳のハローワーク」や「16歳の教科書」路線を
意図したのでしょうが、(ゴールデン・トライアングルにまで
脚注つけてますから)、これを子供に読ませようとする親はいないでしょう。
もし、高野ファンで子供がいるかたなら、普通の高野本を
与えればいいので。
子供が自分で買う本でもないでしょう。タイトルからして。
高野ファンには中学生からいると思いますが、そういう子は
やはり普通の高野本を読んでいるでしょう。
これくらい「対象読者がいない」本はやはり奇書と
呼ぶにふさわしいでしょう。
はっきり言って傑作です。
★★★★★
傑作です。もちろん、いつもの笑いも期待していただいていいのですが、それよりなにより、勇気づけられます。
著者の人生が淡々と語られるのですが、ご本人が淡々としているのがかえってすごい。こんな生き方をしている人がいるのだから、ちょっとやそっとのことでへこたれちゃいかん、と思いました。ていうか、「人生、これでいいのだ」と(笑)。
だって普通、ちょっと興味があるからって、中国行ってアヘン畑で働いたりしないですよ。普通の人は。でも、高野さんは、なんの気負いもなく、自然体でやっちゃう。すごい人です。
就職活動に悩む若者にもぜひ、読んでいただきたい本です。人生なんとかなる、という気分になりますよ!
中途半端でございます
★★☆☆☆
高野秀行ファンが読むと、知っている話ばかりなのであまり面白く感じない。
高野秀行を知らない人が本書を読むと、へえ高野秀行ってむちゃくちゃなことばかりやっている人なんだ、で終わってしまいそう。幾人かは本書のエピソードを知りたくなり「ムベンベ」や「巨龍アマゾン」「ワセダ三畳」などの本を読むかも知れないが。
高野ファンである私が思うに、高野秀行の面白さは文章にあると思うのだが、本書のように新書っぽい書き方をしたら文章の面白みが消えてしまった。
残念。
新たな読者層確保で新たな探検へ
★★☆☆☆
前々からの高野ファンにとっとは新しさはほとんどありません。新たな読者層を獲得するための企画本でしょう。この本が大いに売れて高野さんの資金が潤沢になり、新たな探検に出ることに期待します。
R18指定な生き方
★★★★★
本書のような生き方本で、まず気になるのは著者の人となりだ。簡単に高野氏の経歴を紹介する。
高野伝説は早稲田大学探検部時代に始まる。高野氏は精鋭10名を率いてコンゴに怪獣探索にむかう。残念ながら怪獣は発見出来なかったが、代わりにゴリラを食べて帰ってくる*。阿片王国に潜入したさいには、阿片ケシの栽培を体験するついでに、自らも阿片中毒になる。インドではもう二度と入国不可能な、国家レベルの重罪を犯す。
こう書くと子供に読ませたくない作家No.1のようだが、読むのはあなただ、自己責任でどうぞ。[R18]
さて、本書が掲げるのは、高野氏によるオンリーワンになるための10か条だ。10か条の金言がそれぞれ章題になり、それを裏打ちする高野氏の経験と考えが示されている。
従来の高野本は、高野氏が真剣に取り組むすがたを笑いながら読む、という失礼な読書になりがちであった。本書の場合は、高野氏が真剣に説く哲学を笑いながら読む、というさらに失礼な読書になってしまった。
例えば、宝くじが当たるのは千万分の一程度の確率の夢でしかないが、未知動物を見つけて一攫千金を狙うのは、0.1%程度の確率があると説いているのだ。それは間違ってるでしょう。
しかし、私も本書なかばで自分の間違えに気づいた。この本は「間違っても良い」と勇気づけてると思っていたが、「間違うこと自体を勧めている」のだ。これは間違ってると思うが、2重否定は分かりづらい。ひょっとすると正しいのかも知れない。
そんなこんなで各章を読み終わる頃には、肝心の金言が頭に残ってない。面白いけど企画として間違っていませんか?
本書には10か条の金言が載っているが、全てを実践するのは危険な間違いかと思います。各自で3か条程度を選択するのがよろしいかと。
なにはともあれ、間違えをエンジョイする勇気をもらえる一冊としてお勧めしたい。
注* 本書中にゴリラの記載はございません。原典参照のこと。