アメリカはこのままではクリエイティブ・クラスが逃げていく!
★★★★☆
世界で話題になった前作から基本的なスタンスは変わっていませんが、9・11後のToleranceを失いつつある自国アメリカに対する警告書といった色合いが強くなっていますので、アメリカ人ならば自国の将来について思いめぐらす機会となるでしょうが、逆にアメリカ人以外にとっては少し物足りないかもしれません。
また、前作を出版して以降、様々な意見や批判に対する回答といった側面ももっています。ただ、読者を研究者よりもビジネスマンをターゲットにしているのか、反証にやたらと某社のCEOは、社長は、とトップの名前をひたすら掲げるのは少し安易すぎるのでは、と思いました。(冒頭でロード・オブ・ザ・リングのピーター・ジャクソン監督のエピソードから始まるのは、フロリダを批判しているアラン・スコットの最新作「on Holywood」への反発か、と少し勘ぐってしまいました・・・)
そして、フロリダの核であるインデックスですが、基本的には前作を踏襲し、以降のヨーロッパ調査の際の手法、最新のカナダ調査時の手法が若干の改善として取り入れられていますが、フロリダ教授の手法を研究されている方にとってはビジネス書以上学術書未満の本書では少々物足りないかもしれません。
ラストに世界連帯を訴える部分にはシンパシーを感じますが。