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臨床医が語る認知症の脳科学

価格: ¥1,890
カテゴリ: 単行本
ブランド: 日本評論社
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平易だが斬新な切り口をもつ認知症入門 ★★★★★
敬愛する岩田先生の著書である。2009年11月発行で、知らなかったわけではないのだが、諸事多忙でなかなか手に取れなかった。認知症について易しく解説した、一般向けの本である。認知症のような、世間の知識ニーズが高い疾患の解説書にはいかがわしい内容の本が少なくないので、本書は信頼性の高い情報媒体として第一に勧められると思う。

私は神経内科医でも認知症には昏いので、本書の岩田先生のお考えには新鮮な発見がいくつかあった。もちろん、専門家のための本ではないので、情報量は少なく、背景の論理も大方省略されている。

専門家としてのコメントを付す。

1. 本書は著者の口述を別人が整理編集した本である。そのため、岩田先生の文章が本来もつ香気を、まったく感じることができない。読みやすい文章であり編集者には何ら落ち度はないけれども、岩田先生の文章の愛読者としては残念である。

2. 認知症はかなり絶望的な側面をもつ疾患であるが、岩田先生は極力、患者家族などの読者に希望を失わせない書き方をしている。これが岩田先生の人生哲学であり信念であるのかもしれない。しかし私は、これを岩田先生の良心的「配慮」であると感じた。医師が悲惨な事実を、どの程度あからさまに患者(とその家族)に伝えるか、というのは難しい問題である。嘘は言えないが本当の事も言いにくい、という場面は、臨床現場において少なくない。嘘にならない範囲で「希望的観測」を強調することが、最も円満な結果を導く場合が多いと思う。本書もそのように読めてしまう、というのが、私の人間としての限界のせいであるのかどうかは、自分ではわからない。しかし、すべての認知症患者が、医療・介護側の工夫次第で、落ち着いた平穏な暮らしができる(はずだ)と考えるなら、それは大きな間違いであり、読者にはそこを誤解しないでほしいと思う。
良書☆ ★★★★★
非常に良い!!
少しタイトルから構えて読み始めたが、、
冒頭からとっつきやすい内容で興味がそそられた。
しかし,なんと言っても中盤から筆者の独創的かつ分かりやすい内容に心が躍った。
最近の神経学の本にない理にかなった内容である。
この本を読み好感触を得られた方は,ぜひ河村満先生と共著の脳とソシアルシリーズもお勧めしたい。
認知症予防のための素晴らしい必読書 ★★★★★
高齢化が進む社会において、もっとも厄介な病気は認知症であることは誰でも了解できると思います。
身体は健康だが、精神状態は正常でないという状態の継続は、仮に本人には理解できなくても、社会にとっては
大きな負担となります。本書ではまず認知症について、最新の研究成果について紹介されています。
読めば判るように、この病気について理解を深めるための大変貴重な書物で、高齢者は勿論、若年者にとっても
必読書だと思いました。認知症を予防することについては、記述が簡単ですので、他の書物で補うことは必要だと思います。例えば本書で引用されたスノウドン著「100歳の美しい脳」、或いは運動の必要性を強調したレイテイ著「脳を鍛えるには運動しかない」が大変参考になります。
啓蒙的かつ臨床的更に学問的 ★★★★★
最初の2,3ページを読んで、専門書を水で薄めた啓蒙書かと思って読み進めたら、全く予想外の書物でした。

ご自身の家系で、認知症の方が多くて、自分でも認知症になると思っていたという述懐、また著者が若い頃に
出会った健忘症の患者との出会いなどの興味深いエピソードが満載だけでなく、
包括的に最近の認知症に関する科学的知見がわかりやすく要約されていて、専門の医学書で読んで分かったつもり
のことが頭にすっと入ってきます。

中でも印象的なのは、アルツハイマー病で問題なのは記憶がなくなることでなく、残っていることという逆説的な
指摘で、読んでみるとなるほどと納得します。
専門家も必読ですし、他の認知症関連の啓蒙書を読んでいる方も、認知症の基本的理解のために、
この本は是非読んでいただきたいと思いました。

最後の精神科医に対する批評も強烈でした。