すごい小説
★★★★★
小説を読んでこんなに気持ちが揺さぶられたことはなかった。身が震えるほど感動した。私がデミルファンになるきっかけとなった本。
いささか期待外れ
★★★☆☆
何冊か彼の本を読んで、ここはやはり、彼自身の経験にもとづく作品を読まねばと、遅ればせながら手にとった。たしかに読ませるのだが、どこかしっくりこない。最後の盛り上がりであるはずの部分でも、ぴんとこない。「チャーム・スクール」などと違って手放しでおもしろいと感じられないのだ。元々の主題が、大量破壊兵器が危険だ、といって経済封鎖で疲弊した貧乏国をいたぶった今の出来事の原型だからではないか、と思いついた。もうひとつの大義なき戦いだ。自国戦略の根本的な誤りを裁くわけにはゆくまい。デミルほどの作家にしても、自国文化の枠から自由にはなれなかった、ということだろうか。他の作品のようには、カタルシス解消ですっきりした、と本を閉じることはできなかった。アフガニスタンやあの国の光景が頭の中にちらついて。
新作「アップカントリー」も同じベトナムを舞台にしたものだが、裁判が絡まない活劇なので、そうした複雑な思いなしに一気に読めた。
これだからデミル作品はやめられない
★★★★★
ベトナム戦争、テトという、最も凄惨な、それだけにアメリカの映画やドラマ、小説などでも頻繁に取り扱われる世界で起きた出来事を題材に、ふとしたことからとんでもないことになっていく、デミルの出世作。ストーリーテラーとしてのデミルは、はっきりいって半端じゃないです。戦争ものと法廷ものの絶妙なブレンド具合が、読む者をグイグイデミル・ワールドに引き込みます。軍隊を舞台にしたデミル作品としては、「将軍の娘」が有名ですが、クライマックスの緊迫感は、こっちが上。読めば間違いなくデミルのファンになってしまう、やみつき必至の傑作です。オススメ度100%