ディレイニー入門として、最適です。
★★★★★
川又千秋氏の傑作『幻詩狩り』と並ぶ、《言語SF》の傑作です。魅力的な《キャラクター》、センス・オブ・ワンダー溢れる《アイデア》、最後まで読者を引っ張って行く《ミステリー的展開》など、読み所が満載です。でも、この作品のキモはやっぱり、ディレイニー特有の、詩的かつ神話的な《言語論》にあると思います。簡単に言えば、《言語とは、それ自体が、一つの独立した世界である》という所でしょうが、まだまだ意味が隠されていそうな所が、ディレイニー世界の最大の魅力です。読みやすくて、キャッチーな作品なので、《ディレイニー入門》としても《最適》の傑作だと思います。
洗練されたスペオペです
★★★★★
スペオペと言語理論の二階層メタ小説。1章の空港の町の描写がいいですねえ。上手な文章にチープなガジェットを詰め込んで(スラム街、霊体人、人体改造、インベーダー...)、ニューロマンサーの千葉シティの原型のように思えます。ディレイニーに秋葉原をルポさせたら面白いだろうなあ。後半の言語理論の部分も面白いのですが、再読してみると、ちょっとクドいし情報処理言語名などが陳腐化しています。でもきっとこれがグレッグ・イーガンの原型なのでしょうね。結果的にその後のSFの道標になった作品だと思います。
言語と他者
★★★★★
私は英語で話すときと日本語で話すときと、明らかに人格が変わる(病気?)。私がバベル17という言語に取り憑かれてしまったら、と考えると一人でニヤイヤしてしまう(病気!)。テンポ良くすらすらこの世界に入っていけるので、気が付かない人も多いんだけど、ここには「究極の密室」も隠されております。ディーレニイにしては、さらっとした良い読みやすさ。でもよく考えてみたら、これってアウタースペース版、現代哲学のキモじゃないのかしら。
実は一元論SF
★★★☆☆
バベル17、それは関係代名詞がワンセンテンスに17も複合する神の言語(違うってw)、
若きヒロインが宇宙を駆け巡り謎の言語バベル17に挑戦する、
SF界のジェイムズ・ジョイスと呼ばれるディレーニイの傑作ニュースペースオペラ!
単純にスペオペとしても楽しめるが、
言語学や哲学の知識があるとより一層楽しめます。
「わたしはあなた、あなたはわたし」
に始まる人称転換セリフの場面が、実は物凄く深い。
比喩、暗喩が理解出来なくても、表のストーリーはスペオペなので、
単純に楽しむだけでもOKである。
もちろん、ディレーニィの最高傑作は、「フィネガンズ・ウェイク」と同じ文も出てくる
「アインシュタイン(曲線とゲーデル曲線の)交点」であろうが。
愛
★★★★★
子供の頃に読みスペース・オペラと思っていましたが、最近読み直して「愛」の物語だと考え直しました。リドラの人物造形もディレーニーらしくしっかりしていて惚れ込めます。作品のストーリーはもちろん、脇役も魅力的で、おすすめです。