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イスラーム戦争の時代―暴力の連鎖をどう解くか (NHKブックス)

価格: ¥1,071
カテゴリ: 単行本
ブランド: 日本放送出版協会
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必読! ★★★★★
問題はイスラムという宗教にあるのではない。問題の根源は、「イスラム共同体」が脅かされていると認識してしまう現状に、つまりもはやジハードしかない、と思いつめてしまうムスリム達の置かれた絶望的な状況にあるのだと著者は指摘する。その上で、第二章以降において具体的には、「ヨーロッパ」による、ムスリムへの不公正な態度に言及していく。

印象的だったのは、「国際テロ組織アルカイダ」などといったものへ軍事的対応をすることは不毛であるという指摘である。

P76「いま、起きているさまざまな衝突やテロというものは、個人としてのムスリムが、世界の現状を著しく不公正なものと認識し、イスラーム共同体が危機に瀕していると自覚したことによって、自動的に発生している暴力の形態である。・・・ウサマ・ビン・ラーディンは、一人の扇動家に過ぎないし、アルカイダという組織を率いるリーダーではあっても、世界のムスリムを従える存在ではありえない。」

「テロ」という問題を解決するには、なによりもまず世界各地でムスリムが置かれている不公正な現状を解決するしかない。徒に軍事力を行使し、多くのムスリムを犠牲にすることは、さらなる憎悪と「ジハード」の戦士を生み出すだけであると著者は言う。

イスラムとの向き合い方を考える上で、EUなど、欧州の現状に関心のある方はもちろんですが、特に、ブッシュ政権の「対テロ」政策を考える上で本書から得られるものは大きい。また、日本も米国の「対テロ戦争」に主体的に参加してしまっている以上、日本外交のこれからの対イスラム政策を考えるのに本書は必読である。

全世界で13億人に達するイスラーム。本書での欧州における状況を見る限り絶望的になってしまうが、しかし、それでも共存を諦めてはならない。「和解の思想」を構築したいという著者の今後の研究活動に大いに期待したい。

EUに関心ある方にも ★★★★★
イスラームと西欧が対立する必然性はないはずなのであるが、国際
社会の流れは対立を助長するような動きを見せて止まらない。イス
ラーム社会の中に身を置いた経験と研究を持つ著者の筆はけっして
「文明の衝突」論に与しない。さらにヨーロッパ各国のイスラーム
系住民に対するさまざまな政策を詳細に紹介し、そこから見えてく
るのは、ヨーロッパの異文化に対する「寛容」と「敵対」のダブル
スタンダードの横行である。イスラームの問題に加えて、今日の
ヨーロッパも明瞭に見えてくる一書であり、EUの動向に関心が
ある方にもお勧めしたい。