一般的な教養書としても読む価値のある名著だと思われる
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人口学の大家である河野稠果氏による著書。少子高齢化の問題、人口縮小の問題、都市人口の課題、人口と資源・環境問題など人口を取り巻く様々な課題を、ポイントを押さえて明瞭に解説している。著者は世界を股に掛けて人口研究をしてきたため、人口問題を捉える視座がグローバルである。日本にいると高齢化、少子化が大変な問題のような印象を受けるが、どこの国もそれなりに人口に関する問題は抱えており、特に出生率抑制を進めている国は将来的にそれが高齢化問題の要因になるのだが、分かっているのだろうか、といった政策への疑問を提示しているところなどは、読んでいてハッとさせられる。あと、オランダ人へ実施したアンケート調査で、オランダ人が国の人口が減ることに対して肯定的であったといった紹介なども興味深かった。人口問題を研究するものはもちろんのこと、一般的な教養としても読む価値のある名著であると思われる。