数年前に映画やテレビで流行した「陰陽師」というのは、中国伝来の方術師か、
ある種の仙人伝説の様なもの程度の認識しか有りませんでした。
本書を読み、陰陽道が中国には無く、日本独自の宗教的風土に基づくものであ
り、呪術的信仰の強い日本の、平安時代の貴族社会での怨霊信仰によって生み
出されたものということに驚きました。
同時に貴族・官僚社会の中で立ち回る陰陽師の姿に、会社の中で保身と昇格の
為に動き回る、どこか現代人と似たものを感じました。
ある程度の信用を維持する為に、それなりの占いの結果や、呪術的効果を感じ
させながら生涯を過ごすのは、大変だったのではないかと思われます。
そう考えるのは現代人から見た、うがち過ぎな感想でしょうか。