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経済学者たちの闘い―エコノミックスの考古学

価格: ¥1,890
カテゴリ: 単行本
ブランド: 東洋経済新報社
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触発してくれた本 ★★★★★
 つい先日古本屋で50円の値が付いていたので拾うように買って読んだのだが、今や「名ばかり経済学士」の自分に経済学への興味を再び奮い起こしてくれた。
 内容は、ヨーロッパ・アメリカの近代以降、政府が行った政策に対して論争的・説得的に関わった経済学者・エコノミストたちの用いた議論を現代の問題意識の下で辿り直すといったもので、プロローグ・全13章・エピローグという構成、各章に割かれたページ数もけして多くはない。それでも、著者の意図しているのは読者に経済学の論争的・説得的な姿を惹起させることだと明らかに読めるし、実際自分も、これを読んでから、学生時代買わされたテキストを広げて読み始めた。このような本を読んで、過去の経済学者の問題意識をエンボディーし、その上で情報の経済学、制度の経済学、法と経済などの分野も学び、実際の政治・社会・文化の現象に当てはめていければ、経済学を学び、経済学で考える為の助けになれる1冊だと思う。(肉屋に来て魚がないと嘆いてもしょうがない。)この本を学生時代に読んでいれば、大分取り組み方も違っていただろうな。
徹頭徹尾「闘い」の書 ★★★★★
 本書は徹頭徹尾「闘い」の書です。経済学の「専門知」を根拠なく疑問視し代わりにいい加減な「一般知」を振りかざし日本経済を窮地に追い込む素人への、そしてそのような素人に媚を売り経済学を蔑する言説を振り撒く似非エコノミスト達への。
 本書は「バブル経済」の名を後世に残したイギリスの経済事件にはじまり、ヒューム、リカードウからケインズに至るまで、当時の経済危機やそれに対する蔓延した俗説に対して、彼らが如何に戦ったかをコンパクトに描いている訳ですが、その多くが今日でも十分論点になり得るものばかりなのは偶然ではありません。すなわち、ヒュームは「貿易が国内産業を圧迫し国民経済を窮乏化させる」という俗論と、リカードウは「最後の貸し手」たる中央銀行の責任についてモラルハザードの蔓延を怖れる声と、そしてケインズはデフレ下でなおデフレを促進させる政策(旧平価での金本位制への復帰)と闘ったのです。彼等の多くは多勢に無勢で敗れはしましたが、その闘いを通じて自由貿易、中央銀行等、現在私たちが享受している多くの制度を後世に残すことに成功しました。経済学者が持った文字どおりの「経世済民」への熱き想いと、彼等が取り組んだ問題と解答が平成日本においてアクチュアルであることを示したい著者の考えが結合して、出色の書と成りました。詰まらない揚足取りに囚われず一気に読み下したい1冊です。
本末転倒 ★☆☆☆☆
日本の経済誌を読むとお仲間の評価は高いようですが、私はここの人と似たような印象を受けました。この本は買うかどうか迷っている人はまず巻末の引用文献を見てみましょう。そこには未出版のWorking Paper等はおろか、2000年以降の英文の主要経済誌(QJE、AER、JPEなど)が一つも引用されてません。それどころか、90年代以降のものもほとんど皆無。それで今の日本で行われてる経済論争(例のリフレ派vs構造改革派とかいう単純図式化されたくだらない奴)や開発経済論をばっさりやってるのだからまさに暴挙。アジア経済危機などの後、あれだけ日本経済や開発経済にrelevantなミクロベースのマクロ政治経済分析が学界や各経済誌で行われているのに・・・ 。たとえば著者のように、「市場の失敗」vs「政府の失敗」などという30年前の単純図式で開発主義を断じたりしたら、今の米国の経済学界では相手にされませんよ。単にハイルブロイラーみたいに過去の経済学者たちの思想を整理する本であればそれなりに有益だったかもれないが、最近の研究も概観しないで、古典(それとたまに日本語で出された経済本)の素養だけで現代経済を断じるのは本末転倒。著者が敬愛するケインズも、ヒックスが数理的な基礎を与えるまでは、古典派経済学者にバカにされ、忌み嫌われ、トンデモ扱いされていたことをお忘れなく。
最新の経済学の成果を無視した経済学的守旧派 ★☆☆☆☆
どの世界でも、古典は大事だ、と言われる。
実際、経済学に限らずあらゆる分野で古典は今にも通じる重要な論点を説き明かしてくれることが多い。よっていろいろな問題に直面したときに古典にいったん立ち返って「今」を考える作業は時に有益である。

だが、古典はあくまで古典でもある。古典の考え方に囚われて「今」を見ると、新しい動き、今まで見過ごしてきた動きなどを見誤る場合が多い。特に経済学のような発展途上の学問では、今でも日々新しい理論が生まれ淘汰されている。

この本は古典的な経済学理論の役割を強調する反面、最先端の経済学で注目を集めているような論点についてほとんど触れられていない。特に80年代以降に経済学研究の主流になったともいえる契約理論、ゲーム理論、制度経済学、などについてほとんど一言も触れられないまま「今」の日本経済について強い論調で論じているのは驚きですらある(80年代以降のそのような動きを経済学の「静かなる革命」と呼ぶ人までいる)。

金融機関の機能とマクロ経済との関係、各種の情報非対称性と新しい形の「市場機能の萎縮」など、「いまだ通説が確立していないから」という理由だけで無視し、古典的(入門レベルの教科書的)な理論に固執し教科書的な処方箋のみを是とするならば、現段階で実用性がないほど未熟だと酷評される経済学は永遠に進歩しませんぞ。(経済学は、経済危機とともに発展し、新たな理論を生み出してきたのでは。)

類書にはない読みやすさ ★★★★★
経済学史を専門とする筆者の手による本書。
通常の学史の本とは一線を画す読み安さになっている。
それは、ただ学説を網羅的、時代順に扱うのではなく
現代に繋がるという視点で選び出しているからだろう。
この点は、本書がもともとは連載物であったことと無関係ではない。

学史を学ぼうと考える人には入門の入門。

ただし、本書では抜け落ちている重要な学説もあるので注意が必要。
それ以外の人には、現代経済を考える上でも
過去の歴史が非常に重要である事を思い起こさせてくれる良書となる。