オンリーワンの新商品・新サービス開発のための手引書
★★★★★
タイトルを見ると、ブルー・オーシャン戦略の理論解説書のようだが、その期待は良い意味で裏切られる。
本書にはブルー・オーシャン戦略を活用したオンリーワンの新商品・新サービス開発の実践的手法が書かれている。細かい理論解説でなく実務的な内容である。「シェア100%の商品」を狙った「市場転換型ニッチャー」を目指すブルー・オーシャン戦略の運用が、著者の長年の実務経験や他社の事例で説明されており、実施の組織や人員体制など実務に裏打ちされた内容は説得力を持つ。ブルー・オーシャン戦略を実務にどのように活かせばよいかがわかる。
また分かりやすい表現で適度なボリュームにまとめられているので、元になる「ブルー・オーシャン戦略」を読んでいなくても十分理解できる。そのため、コンサルタントのみならず、実際に商品開発に携わっている方にも読みやすい一冊である。
”使う”ブルーオーシャン
★★★★☆
本書は、実践として、経営資源が少ない中小企業が事業をどう進めていけばよいのかを、単なるハウツーやガイド本でなく、考え方から具体策までを筆者の実務経験をベースにブルーオーシャンを解釈し、「シェア100%の戦略的新商品・新事業開発」をめざす市場転換型ニッチャーとして提言している。今さらニッチャーなんて古いと思われる人も多いが、実は、ニッチャーに対する解釈をビジネスの現場でしっかり考えていないことが多く、この部分をシンプルに独自の視点で提示したことは評価できる。既存理論を知らない人のために、従来の「市場階層型ニッチャー」と「市場転換型ニッチャー」の違いを同じ自動車業界を例にして、自分なりに考えると筆者に言いたい事が伝わる。また、「市場」という言葉を「ニーズ」に変えて読むとフィットする。また、ブルーオーシャンを語るならば、「既存の顧客が去ってもよし」ということについてどう読者が実践をする中で理解をしておくべきかを提示することはほしかった。