面白かったのは、幕末の志士で長州藩の大物であったにもかかわらず、維新後政治の表舞台にたたなかった白井小助という人物に関する文章。この人物がはちゃめちゃで、12年後輩の山縣有朋の私邸をたびたび訪れては、荒らしていく様子が大変ユーモラスだ。なにしろ、山縣の奥方を酒樽に放り込んで、そこから柄杓で酒を飲むというのだから、とんでもない狼藉である。しかし愉快である。
特に珍しく思ったのはゴッホに関する評論。やや唐突ではあるが、こういうのものも書いていたのか、とその興味の幅に驚いた。
それだけではなく、一市民のありふれた日常に光景やイベントなどもおさめられており、堅苦しくなく飽きることなく読破できると思います。(短編集なのが特にいいです。)
今回は、戦争について多く書かれていますのでそちらのほうに関心があるほ面白いのではないでしょうか。