希望に満ちた本
★★★☆☆
著者独特の視点で、科学技術いわゆる理系の重要性を説く。
過去産業革命の分析から、インターネットにおける産業革命の分析まで。
その該博な知識に裏付けされた分析は、なかなかに面白い。
特に著者が、新しい産業革命を予測するに「環境技術」へと進んでいくのだが、
そこで紹介される超電導技術については、文系のわたしでもわかりやすく面白い。
そして、その将来に期待を抱ける。そんな一冊であります。
産学連携に力を入れている著者らしい各分野への造詣の深さに裏打ちされた説得力のある本に仕上がっている。
★★★★☆
今のインターネット革命を第4の産業革命と位置づけながら、破綻した金融資本主義を批判し、我が国は科学技術に立脚した強小国へ向かうべきだという力作。
何より、これからの世界の方向は環境技術であるとし、我が国で開発されつつある高温直流超伝導技術と太陽光発電の組み合わせがエネルギー革命を引き起こすとしている。
最近のこの国を覆っている重苦しい未来像に比べ、遙かに明るい未来を描いてくれる。
そのためには、理系教育にもっと力を入れるとともに、賃金格差や就職の問題を解決させることも必要と説いている。
産学連携に力を入れている著者らしい各分野への造詣の深さに裏打ちされた説得力のある本に仕上がっている。
日本の社会・経済政策を考える上で是非参考にすべき書籍です
★★★★★
日本のインターネットの商用化の担い手となり、現在は地球環境エネルギー革命に情熱を注いでいる著者が、これからのあるべき日本とは、新しい産業革命に向けての「科学技術創造立国」の道であると述べているところに共鳴しました。
今の日本の財政出動は、ケインズ的に見れば短期の需要拡大政策としては正しい政策だとは思いますが、財源となる国債の発行は次世代へのツケ、それはすなわち増税となって現れるわけであって、だから税収を増やすには長期的な生産性の向上を目指さなければいけません。そのためにも新しい産業の創出は必要であって、この本を読んで、まさに今の日本は新しい産業を創出すべき時期に来ているのだなと思いました。
この著者は東大の工学博士号を持つバリバリの理系ではありますが、科学技術創造立国を作るべき根拠として、産業革命の歴史といった経済史的側面、自ら経営者でもあるので経営学的側面、そして科学技術創造立国を担う若者を育てる大学の改革といった社会政策学的側面から述べており、文系の私でも大変理解しやすい内容です。
この本の帯に京大総長が書かれているように、日本の政治家、行政官に是非読んで欲しいですね。