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Ivanhoe (Classic)

価格: ¥494
カテゴリ: マスマーケット
ブランド: Bantam Classics
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痛快な中世歴史絵巻 ★★★☆☆
 物語の舞台は中世イングランド。国王リチャードは十字軍に参加して長らく国を留守にしており、その間、王弟ジョンは玉座簒奪の企てにうつつを抜かし、貴族たちも王権を蔑ろにして正にやりたい放題。ノルマン・コンクェストの傷も癒えず、王国の彼方此方ではノルマンとサクソンの反感と対立が燃え盛っています。
 そうした中、十字軍から帰還した我らがアイヴァンホー、国王の忠実な臣下として王弟一派の陰謀に立ち向かうとともに、アルフレッド大王の気高き後裔ロクスリ姫を守り、世に蔓延る悪を向こうに回して今日も雄雄しく剣を振るいます。
 日本で言えば山手樹一郎の「桃太郎侍」みたいなノリで、思わず手に汗を握ってしまいます。特に感心したのは次の3点。
(1) 国王リチャードの自信と鷹揚さ。こんな王様、楽しくて良いけど、実際こんなふうだったら家来や国民はさぞやたいへんでしょうね。
(2) ユダヤ商人の娘レベッカの気高さ。身は異教徒と蔑まれ、至るところで差別と迫害の対象となりつつも、魂の高潔さだけは失わない健気な女性です。叶わぬ願いと知りつつも、アイヴァンホーに対して最後まで誠を尽くすその美しい姿勢には、読者の胸に訴えるものがあります。
(3) アイヴァンホーの心意気。命の恩人レベッカを魔の手から救うため、彼女がユダヤ人であることも、自らの病躯をも意に介さず、男の心意気一つで強敵との命のやり取りに出向きます。かっこいいです。
 翻訳が「拙者・そこもと・ござる・なされい」といった独特の言い回しになので、読んでいるうちに日本の時代劇のように思えてきてしまいました。江戸を舞台にした映画などを作ってみたら、それなりにヒットするのではないかなどと余計なことを考えてしまいました。
最初を乗り越えれば ★★★★☆
最初の数十ページは、はっきり言って、つまらなかった。1066年
ノルマン征服以後のイングランドの事情をこれでもかというほど述べ、
アングロサクソンとノルマン人の対立を強調する。
そして、やっとこさ話が始まったと思ったら、聖職者と騎士が郷士の館に
一泊するまでのいきさつだけでまた80ページくらいかかっている。
皆の服から家の調度、景色まで描写が異様に細かく、物語好きの私でも
相当飽きた。
で、そのあとからやっと面白くなってくる。馬上槍試合、正体を隠す
騎士、森の隠者、弓の名手・・・中世の話だが、本当に中世の作品みたい
に仕上がっている。自ら中世のような館を建ててその返済を本で完了して
しまったスコットである。中世にはなかなかこだわりがあるのやも知れぬ。
翻訳は「それがし、・・・でござる」という武家朝。時折古文ぽくなり
正直にいって理解不能の箇所もあったが、細かい章わけが電車での読書
に適していたのと話が気になり始めたのとでどんどん読めた。
我が青春の騎士物語り ★★★★★
勇猛果敢なヒーローは珍しくないけれど、騎士が騎士たる所以は忠節、愛&誠を貫くところです。主人公は劣勢のリチャード王に加担し、無実の女性を救出し、非力なユダヤ人を守り、奴隷・忠僕に良き主人です。弱きを助け悪を挫くロビンフッドなど義侠心溢れる仲間を得て拍手喝采、古今東西にかかわらず溜飲の下がる、女性ファンにはロマンティックな結末を迎えます。
当時の混乱した時代背景にあって、真実な生き様を見せることは命がけだったと思います。小説に書かれている以上に過酷な生活であったことでしょう。訳は古臭いですが<慣れてしまえば>魅力溢れる物語を心から楽しめます。

子供の頃は児童文学書で、30分物のテレビドラマで手に汗握り、映画ではエリザベス・テーラーのレベッカに憧れました。長じてはこの岩波文庫で読みました。今も愛読書です。
余談ながら(^^;)ナルニア国物語「魔女とライオン」/タムナスさん宅の本棚にある「森に住む坊さん」はアイヴァンホーのタック和尚じゃないかと心ひそかに考えています。

イギリスの「水戸黄門」話 ★★★★☆
英仏の歴史を勉強しながら読んだので、勉強になったかも?
和洋折衷の妙な翻訳も、今では逆に笑えて面白いし、物語もリチャード獅子心王やロビンフッドも登場してきて、だんだん面白くなってくる。

特にリチャードと修道僧タックとのやりとりが面白い。この場面では、どちらも正体を明かしていないのだが、イギリス人なら誰でもすぐにこの二人だとわかるらしい。そしてそこに現れるロビンフッド。この3人が、誘拐された郷士セドリック(アイヴァンホーの父親)とロウィーナ姫たちを助けに向かうところで上巻は終わる。いよいよ冒険活劇っぽくなってくる。

しかしこの時代劇風の翻訳、最初は面食らったが、徐々にこれでなくては!というところまで馴染んでしまった。

第一級のエンターテインメント ★★★★★
魔女として処刑寸前のレベッカの前に現れたのは、怪我もまだ全治していないアイヴァンホー。いかにユダヤの娘とはいえ、自分の命を助けてくれた恩人。どんなことがあっても助け出そうという気持ちで、ギルベールとの一騎打ちに臨む。

そこに駆けつけた黒騎士(リチャード獅子心王)によって、御堂の騎士団の不正も正され、アイヴァンホーも父セドリックと仲直りをし、めでたくロウィーナ姫と結婚する運びとなった。

ロウィーナのもとを訪れ、どうぞご主人にお礼を言ってほしいと頭を下げるレベッカ。この礼儀正しく、清廉潔白なレベッカの気持ちを考えると、思わず涙してしまう。

登場人物が魅力的であり、ドキドキはらはらもあり、エンターテインメントとしても一級品だと思う。