騎士道に関する話ではローマ神話がしばしば引用されるが、神々の定義は今知るローマ神話と異なる部分もあります。
月と狩の処女神ダイアナは、冥王ハデスの妻、あるいはプラトンの孫娘などと呼びかけられているのがその例。
デメテルあるいはペルフェフォネとの混同のようです。
女性に誘いをかけに行く若い男性が「つくばね草を舌の下に入れて」なんて風俗も登場します。
つくばね草は、葉っぱを見紛う緑色の花を咲かせる野草です。
良い香りがするとは聞きませんから、何かのおまじないでしょうか?
興の乗り始めたところでぶつりと終わっている話もあり、巻末の解説でチョーサーの死により完結を見なかったと知りました。
話自体を楽しむ、というよりは中世の暮らしを知るための資料。
騎士道ものの映画を好きな方は楽しめそうです。
さまざまな知識が得られ、とても勉強になる。
本書には、General Prologue及び、「騎士の物語」「粉屋の話」「家扶の
話」「料理人の話」「弁護士の物語」を収録しているほか、作者Chaucer自身
についての解説も付されている。
さまざまな階級の人々が語る多様なジャンルの物語が楽しめるオムニバス形式
の作品。