「コンシェルジュ」の仕事−「サービス」と「ホスピタリティ」の違いとは?
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コンシェルジュ(concierge)という仕事がどういうものか。このコトバが日本語でも使われるようになってきたので、単行本初版がでた2001年当時とはだいぶ状況が変化したのではないだろうか。お客様の要望にはどんなものでも応えるというコンシェルジュが、比喩的な意味で使われることもしばしばある。
しかし一方、コトバは拡がっても、実際に日本国内でコンシェルジュのお世話になることがあまりないのは、外資系ホテルが増えたとはいえ、まだまだコンシェルジュの絶対数が日本では少ないからだろう。日本を一歩出れば、私もいつもコンシェルジュのお世話になっているのだが。
その意味で、コンシェルジュというホスピタリティの仕事がどういうもので、そのために必要な能力は何が求められるのかについて語った本書は、現在でも貴重な一冊である。「サービス」と「ホスピタリティ」の違いについては、直接読んで確かめてください。
著者は、コンシェルジュに憧れながらも、まだその職種が日本になかったため断念、10年間別の仕事を経験してからヨコハマ・グランド・インターコンチネンタルで念願のコンシェルジュに就くことができた人である(・・現在はグランド・ハイアット東京のチーフ・コンシェルジュ)。この回り道が、実は意味があったことも本書で十分に語られている。
コンシェルジュに必要なのは、お客様のばくぜんとした要望を限られた質問内容から感じ取り、イメージし、的確で具体的な解答を説得力をもて提示する仕事だからである。そのためには、好奇心を全開にして、五感をフルに活動させて、実にさまざまな事を実際に自分で見て、体験しておく必要があるわけなのだ。そして何よりもすぐに聞ける人脈をもっていることも不可欠であるという。
本書はコンシエルジュになりたい人、コンシエルジュをもっと知ってみたい人だけでなく、人に接する仕事には何が必要なのかヒントを得たい人にもひろく薦めたい。
Noとは言えない性分
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「おもてなし」は、考えるのでなく、感じるものだとは思いつつ…
「おもてなし」について読んでみた。
「僕の今の気分にぴったりのお店は?」
こんな問いかけに心躍るコンシェルジュの打ち明け話が、
本書にございます。
Noとは言わないのではなく、Noとは言えない性分の人が
やっているんだなぁ、と本文に書いてある話に納得。
まだ相談も持ちかけていないのに、「なかなかやるな、
あの人に頼めば大丈夫だ」と思わずにはいられません。
究極のサービスを目指すコンセルジュ
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アメリカのホテルに泊まった時、フロントのそばに変なデスクがあり、”Concierge”との小さな立て札があった。結構年老いたおじさんやおばさんが座っていた。部屋に帰って辞書を見ると「門衛、門番」とあり、はてまたなんだろうと思った。
日本には存在しなかった、コンシェルジュという職業を、著者の創意と工夫の数々で、自ら作り上げて行った苦労談。
お客様の目線に立ったサービスを目指し、情報収集と実地体験を通し、自らを高めて行く心がけと行動に敬服した。同業者仲間とのネットワーク作りや相互補完なども幅広く行っている。目先の利益追求だけではなく、お客様本位のサービスの提供を、木目細かく自らも喜びを感じながら実施している様子は、読者に多くの示唆を与えてくれる。
顧客価値提供は、すべての職業の基本であり、業種にかかわらずプロを目指す人は、一度は読んでおくべき本だと思います。
サービス業の極意が学べます!
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ホテルのロビーの片隅のデスクに座っているのはいったい誰?どんなことをしているの?そんな疑問に答えてくれるのがこの本です。お客様の気持ちをくみとって、人に感動を与える仕事の素晴らしさ、ホスピタリティの秘訣がたくさん掲載されています。著者の阿部さんは、現在は、グランドハイアットのチーフコンシェルジュをされていて、コンシェルジュの世界組織「レクドール」の国際会員で、元プレジデント(日本代表)というすごい肩書きを持たれた、接客業のプロ中のプロでいらっしゃいます。
コンシェルジェは使わなきゃ
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ホテルに泊まるのだったら、施設の一部としてコンシェルジェの力をお借りしなくては損だ。そんな気にさせてくれる一冊。ゲストの困り事を我が事のように考え、解決の手伝いをしてくれる。実に頼りがいのある職種だ。が、そんなに頼れる方は、まだまだ日本には少なく、どのホテルに行っても心配ないか? というと・・・。これからはコンシェルジェのすばらしいホテルが繁盛するだろう。