「おもてなし」は、考えるのでなく、感じるものだとは思いつつ…
「おもてなし」について読んでみた。

サービス産業は今やGDPの7割を占める大産業です。
そこでは、多くのサービスが展開されていますが、今や、お客さまの
ご要望にお答えするのは当たり前になっています。
これを超えた「おもてなし」をして初めてお客様に感動していただける
わけです。

本書では、おもてなしに一番必要なのはマインド（心）と確認した上で、
具体的な行動にまで落とし込んだ実践例を紹介しています。

特に印象に残ったのはこちら。
＊心構え：「自分のコップを空にしてください」
＊言葉遣い：言葉は「YES」でも声が「NO」になっていないか
＊表情：笑顔に注意する

元来、コンシェルジェとは「鍵の番人」を意味し「お客様の持ち物すべてをお預かりする」という大変に責任の重い仕事だという。
前半は、このコンシェルジェとして、如何に客の要望を汲み取り、実現させるかといった「顧客に対する心構え」について、後半では、社内の人間関係やスタッフの育て方といった、顧客サービスを実現するための「組織人のあり方」について、いずれも豊富な実例を基に述べられる。
そして、最後には、職歴のターニングポイントにさしかかった際の心構えと、「夢は必ずかなう」ものという著者の心情で締めくくられる。

例えば、挨拶の角度と目線の位置が図示されているなど、さながらホテル学校の教科書といった趣もある。しかし、全般を通して語られる数々のエピソード、それらに対する氏の考え方や対処法が、むしろ私には興味深く読めた。そうして、本書はコンシェルジェ「前田佳子」氏自身のマニュフェストではなかったのか、という気がしている。
ホテル業種以外のサービスに従事する人にもお勧めできる。