もうちょっとひねりが欲しかったけど、さすが
★★★★☆
御手洗が登場する作品として期待して読みましたが、御手洗の推理の出番が少なくて少し残念でした。
ストーリーは、野球というジャンルで、男同士の友情が上手く表現されており、時折心が温かくなる場面が多かったです。
ただ、ミステリーとして考えたとき、わざわざ御手洗を出す必要もなく、、石岡君はただただ胃が痛いという印象を受けました(汗)
本格ミステリー好きの立場からしたら、もうちょっとひねったトリックを考えて欲しかった。でも、文章力は凄いと改めて感心です!
御手洗もののミステリとしては物足りないが、さわやかで暖かい。
★★★★☆
全然違う話がいきなりはじまったな…あれ?あれ?最後まで行っちゃうの????と
一気に読んでしまう小品。
御手洗潔は、すべてを一瞬で観通してしまいながらも、真相をあえて葬るというような
粋やあたたかさがある人柄だったんだなぁと
意外な魅力に気付かされた。
頑張ることは無駄じゃない、頑張って、胸を張っていこうと素直に感動できる1冊。
野球に対する洞察力が・・・
★★★★★
高校時代にプロ野球選手を夢見て、社会人野球を選ばざるを得ない若きピッチャーと、超高校
球であり、大学野球を経て鳴り物入りで社会人野球と横浜ベイスターズに入団する孤高の天才
バッターの、全く異なる二人の異なる境遇でありながら、不思議な運命がふたりを事件に巻き
込んでゆく、ミステリー作品である。
野球というテーマでありながら、ふたりの若者が「不遇な運命」に抗いながら、ピッチャーと
バッターという繊細な心理状態を描きながら、ストーリーが展開する著者の緻密な構成には、
頭が下がる思いである。
本当に野球を愛した、ふたりの異なる運命が待ちかまえる「最後の一球」を描くラストシーン
は、強く心を揺さぶられた。私自身の「最後の一球」はどのようなものか?を考えさせられ
る、心に残る一冊である。
素敵なお話
★★★★★
久しぶりに読んだ島田作品。
読んだ後、何とも言えない心地よい風が吹き抜けました。
島田氏の代表作といえば、すごい作品が既にありますが、この作品はそれらには
ない感覚を与えてくれます。
推理小説というより素敵なお話です。
読んだ後、何日かはこの物語の人たちが頭から離れませんでした。
優しさ溢れるミステリー
★★★★★
初出は2005年2月10日発売『季刊島田荘司04』。この季刊の素晴らしいところは何といっても最新のミタライ・シリーズをいち早く読むことが出来るところで、『03』には『セント・ニコラスの、ダイヤモンドの靴』が掲載されている。『季刊島田荘司04』の中で480枚の長編『最後の一球』の存在感は大きかった。
なんと言ってもストーリーに暖かみがある。血が通ったミステリーだ。こういう暖かみがあるストーリーをミステリーで書けるのは島田荘司だけではないかと思えてくる。トリックや異常性でなく、この優しさ溢れるミステリーこそ評価されるべきだろう。最近のミステリーのリーダーズ・ポールはそれを忘れていてつまらないな、と思う。