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からくりアンモラル (ハヤカワ文庫JA)

価格: ¥777
カテゴリ: 文庫
ブランド: 早川書房
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時をかける少女たち ★★★★★
せつなさただようSF短編集。
狭義のSFにこだわる人は受け付けないかもしれませんが、この作品におけるSFはギミックに過ぎないと思います。
時に聖性すら帯びる小悪魔的な少女の媚態、ユーモアとエロスが織り交ざる独特の雰囲気など森奈津子が森奈津子たるゆえんがたっぷり堪能できる隠れた名作。
収録作もバラエティーに富んでいて楽しめます。

個人的に好きなのは「いなくなった猫の話」。
場末の酒場の女(といっても十分若い)の回想から幕を開ける異色な冒頭からしてちょっと毛色が違いますが、淡々としながらもしっとりした艶を含む語り口にいつしか魅了され、拾った猫の子との間に愛情を育んでいく姿が目に浮かびます。

「人生って、得ることと失うことの連続だと思わないかい?
獲得と喪失の繰り返しって言えばいいのかな。
形あるものはいつかは壊れるって言うじゃないか。
それと同じだよ。
手にしたものは、いつかは失う。
愛した者とも、いつかは別れる。
得たり、失ったり。それの繰り返しさ」

少女は砕瓜を迎え大人になる。
それは神秘に包まれた少女性を喪失し、「女」という別の生き物に生まれ変わる事。

大きな喪失を体験した小夜の言葉に、森作品に通底した「喪失と再生」のテーマを見るおもいです。
切ない短編集 ★★★★★
ジャンルに強い拘りを置かず、作品自体を楽しみました。切ない系のお話が多かった様に思います(けれど、それでいて笑える箇所が多々ある所が、さすが森先生)8話共、それぞれ良かったのですが、特に「いなくなった猫のはなし」は読後の余韻に惹かれつつ涙を収拾するのに時間が掛かってしまいました。

ジャンルに強い拘りを持たなければきっと貴方のお気に入りのお話も見つかるのではないでしょうか?

SFシリーズの1冊ですが断じてSFではありません ★☆☆☆☆
SFと性愛テーマの両立は難しいと言われていますから,本書はそんな興味本位で購入しました.けれども物語の中にタイムトラベルやアンドロイドを登場させればSF小説になるというわけではありません.作者もSF小説として書いているわけではないようです.文章も何だか同人誌を読んでいるような感じです.いずれにせよ私のように少しでもSFを期待して読んではいけない作品集です.早川書房のこの「SF」シリーズには大変優れたSF作品が揃っているだけに,出版社の意向に疑問を感じずにはおれません.正直私はこの値段を出して損した,と思った本ですが,作者の「官能少女小説」ファンには待望のアンソロジーといったところで五つ星になるのかもしれません.
タイムトラベル、自己愛、同一化、アンドロイド、吸血鬼ならぬ吸精鬼。 ★★★☆☆
 男女間に限定されない性愛をテーマにしている作者にあって、エロチックファンタジーを収録した8篇の短編集の本書は、作者のお気に入りの作品も所蔵しており、少女の繊細でいて残酷、かつ哀切な恋物語に焦点が置かれています。笑える内容もありますが、どちらかというとリリカルな作品が多く、過激な描写もやや抑え気味な感じですので、作者の作品を初めて読む人にもお勧めします。性的絶頂がタイムトラベルの引き金となる『あたしを愛したあたしたち』のラストは、愛おしさを覚えます。壮大な愛憎劇の果てに待ち受けるものは何かの『レプリカント色ざんげ』や、情けないヒモを父親に持った娘のてん末を描いた笑える『ナルキッソスの娘』が特に面白く読めました。